ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460333hit]
■イルマーレ、ディア・ピョンヤン、パイレーツ・オブ・カリビアン2、マスター・オブ・サンダー、天軍、スーパーマン・リターンズ
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『イルマーレ』“The Lake House”
2000年に製作・公開された韓国製ファンタシー映画のリメイ
ク。サンドラ・ブロックとキアヌ・リーヴス=『スピード』
コンビの12年ぶりの共演で、湖畔の家の郵便ポストに入れら
れた手紙が2年間の時を超え、男女を結びつける物語。
一方の主人公は女医。シカゴの総合病院に勤務の決まった彼
女は、勤務状況を考慮して湖畔の家を引き払って市中のアパ
ートに引っ越すことにする。そして、ポストに転居先への郵
便物の転送を依頼するメモを入れる。
他方の主人公は建築士。彼は廃屋と化していた湖畔の家を修
理し、新たに住もうとしていた。そして、郵便ポストに、あ
たかも今その家を出ていこうとするかのような、意味不明の
転居のメモを見つける。しかもその日付は、2年後のものだ
った。
この種の話は、どうやってもネタバレになる。以下はネタバ
レです。
この物語の上手さは、時間移動しているのが手紙だけという
ことだ。よく似た話では、同じ2000年に“Frequency”(オ
ーロラの彼方)という作品がアメリカでも作られているが、
アメリカ作品では、かなりの重大問題が最初に掲げられるの
に対し、本作ではそれが隠され、男女の問題に集約されてい
るのも、上手さと言えるかも知れない。
それに2年という時間差も、微妙な味わいと言えそうだ。本
作では、主人公の2人は均等に描かれるが、通常の時間もの
では未来にいる方が主導権を持つものだ。しかし本作では、
過去にいる方が有利というか、主導権を持つところも、他の
作品にないアイデアでもある。
ただし、SFファンにとって時間ものの注目点は、やはりタ
イム・パラドックスの処理になるが、それが上手くできてい
るかというと、正直に言ってかなり難しい。特に結末はこれ
では成立しないし、本当はもっとえげつないことをしなけれ
ばいけないのだが、そこはラヴロマンスが主体の作品だから
仕方がないと言うところだろう。
実は、韓国版のオリジナルは事前には見なかった。チャンス
はあったのだが、ハリウッド版を真っ新で見たかったので、
敢えて見ないようにしたものだ。従って物語は主人公たちと
同じ立場で見たが、この結末はSFファンならもっと早くに
気が付くはずのものだ。
映画の中で、主人公はジェーン・オースティンやドストエフ
スキーを愛読していたようだが、もう少しSFも読んでいれ
ば良かったのに、と言いたくなるのは、SFファンの特権と
言えそうだ。
因に、韓国版の“Il Mare”というのはイタリア語で「海」
の意味だが、アメリカ版は湖畔の家の話で原題も“The Lake
House”となっている。しかし、上記の邦題がちゃんと成立
するのは、アメリカ版製作者の配慮という感じもした。
『ディア・ピョンヤン』
朝鮮総聯の創設以来の幹部という父親と、その娘の確執を描
いたドキュメンタリー作品。
作品の全体は、父親を主体にした家族の記録だが、そこにピ
ョンヤンを訪問したり、離散した家族との再会など、普通の
家族とは違うものが描き出される。
また、監督である娘は父親の政治思想に批判的だが、それで
も相互に理解しようとする気持ちは、日本人の家族ではなか
なか考えられない。それは重くもあるが、互いの真剣さが爽
やかでもあった。
恐らくそれは、親に対する尊敬の念のようなもので裏打ちさ
れているというところもありそうだ。被写体の父親は、普段
は実に快活であり、面白い親父であるが、一旦政治を口にす
るとガラリと態度が変わる。
と言っても、娘に対する態度は穏やかではあるのだが、最終
ポイントは絶対に譲らない。そんな父親の真剣さが娘にも伝
わっているのだろう。そしてそれが、時にユーモラスにも描
かれている。父親のキャラクターのお陰もあるが、その辺は
[5]続きを読む
07月14日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る