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On the Production
by 井口健二
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■マッチ・ポイント、DEATH NOTE、夜のピクニック、カーズ、キンキー・ブーツ、いちばんきれいな水、フラガール
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『マッチ・ポイント』“Match Point”
ニューヨーク派と呼ばれたウディ・アレンがニューヨークを
離れ、ロンドンで撮影した2005年監督作品。
英国の上流社会を舞台に、アイルランドの貧しい生まれから
テニスを武器にのし上がった青年と、アメリカからやってき
た女優の卵がそれぞれの目標に向かって突き進んで行く姿が
描かれる。
青年は、ツアープロとしてそこそこの成績を残していたが、
それをやめてロンドン会員制テニスコートのコーチとして働
き始める。そして一人の実業家の息子と知り合い、彼に誘わ
れてオペラを見に行き、その妹に見初められる。
しかし、その息子の生家を訪ねたとき、そこで彼の婚約者の
アメリカから来た女優の卵に出会ってしまう。そして、彼女
のセクシーな魅力に取り付かれた青年は、危ない綱渡りを始
めることになるが…
この青年に、“M:I3”でトム・クルーズとの共演を控えるジ
ョナサン・リース・メイヤーズが扮し、女優の卵を、正にセ
クシーという感じのスカーレット・ヨハンソンが演じる。
プロローグでネットに掛ったテニスボールが真上に跳ね上が
る映像が登場する。そのボールが、向こう側に落ちるかこち
ら側に落ちるか、それは運命のなせる技。そんな運命に翻弄
される人たちの物語だ。
アレンは、ここ数年はアメリカで行き詰まりを感じさせてい
たようだ。僕自身は最近の作品も面白く見ていたが、確かに
往年の勢いに比べれば、最近の作品はこじんまりとしている
という感じだったかも知れない。
そのアレンがロンドンに行き、舞台を変えることで新しい活
力を見出したとも評されている。物語は皮肉で一杯だし、正
直に言ってかなり不道徳な作品だが、それこそがアレンの本
質。しかもそれが絶妙のタイミングで発揮される。
僕が見たのは、スポンサーなども集まる披露試写で、周りの
人たちはまじめに見ていたようだが、僕は途中からクスクス
笑いが止まらなくなっていた。そしてそれが、あるタイミン
グで声を挙げて笑ってしまった。なお、同じ反応は会場で数
人いたようだ。
このアレンを、これから誰がどのように評価してくれるのか
判らないが、僕としては、アレンを見続けてきて良かったと
思わせてくれた、そんな感じで本当に楽しめる作品だった。
頭の中の古い価値観など全部外してしまいなさい。70歳のア
レンにそう教えられた感じだ。
『DEATH NOTE』
ヤングジャンプ連載で、既刊10巻の単行本は合計1400万部発
行されたというベストセラーコミックスの映画化。ただし今
回の公開はその前編だけで、後編は10月に公開される。
本来は死神が持つべき死のノートを、退屈した死神が地上に
落とし、司法試験に合格して将来は警視総監を属望される天
才がそれを拾う。そして、法律の手の届かないもどかしさを
感じていた主人公は、そのノートを使って世界中の犯罪者の
処刑を始めるが…
しかし、法に拠らない処刑は大量殺人と見做される。そして
事件を追うICPOは、処刑のパターンから犯人の居住地を
日本と割り出し、犯罪捜査に天才的な推理力を発揮する謎の
人物Lを派遣する。こうして2人の天才の対決が始まる。
Lは、正義である捜査のためには人の死も厭わない。一方、
徐々に追いつめられる主人公は、自らの正義を全うするため
犯罪者以外の死も利用するようになって行く。この歪んだ正
義感のぶつかりあいは、物語の中では否定しつつもゲームの
世界の倫理と言える。
原作は、途中までは抜群に面白いと言われているようだが、
その途中までを映画化したこの作品も抜群に面白い。何しろ
天才同士の凌ぎ合いで、その倫理観も我々とは異なるのだか
ら、その展開にはある意味僕の予想を越える部分もあった。
特にこの映画化では、原作にはいない主人公の幼馴染みを登
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06月14日(水)
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