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On the Production
by 井口健二
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■トランスアメリカ、ロンゲスト・ヤード、アンダーワールド・エボリューション、間宮兄弟、RENT、ナイロビの蜂、セキ★ララ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『トランスアメリカ』“Transamerica”
トランスジェンダー(性同一性障害)の父親と息子の関係を
ユーモラスな語り口で描き、主演のフェリシティ・ハフマン
が、ゴールデン・グローブ受賞とアカデミー賞のノミネート
にも輝いたドラマ作品。その他にも各地の映画祭で受賞を果
たしている。
主人公のドリーはロサンゼルスの片隅で慎ましく暮らしてい
た。幼い頃から性同一性障害だったドリーは、ホルモン剤の
投与や整形手術などで女性的な身体つきとなっていたが、最
後の手術は未実施。しかしついにその性転換手術が許可され
る日が来る。
ところがその直前、ニューヨークの刑務所からの電話で、ド
リーが男だったときにできた息子が保釈金の支払い者を求め
ていることを伝えられる。そして、カウンセラーの勧めもあ
ってニューヨークに向かったドリーは息子と面会するが…。
息子はドリーが父親であることに気付かず、ドリーも教会か
ら派遣されたと名告ってしまう。
こうして巡り会った親子だったが、さらに息子の夢が映画ス
ターになることだと知ったドリーは、真実を語らないまま、
一緒にロサンゼルスに向かうことにする。しかも、手術費を
確保するため飛行機は諦め、息子と2人、自家用車でアメリ
カ大陸横断(トランスアメリカ)することに決めるのだが…
トランスジェンダーは、アメリカでは正式に病気として認め
られているが、実際に性転換をするには、かなり厳格な資格
審査が要求されるようだ。そして映画は、冒頭でその現実に
も触れているが、全体としてその病気への理解を求めようと
する方向性のものだ。
とは言うものの、物語はちょっと風変わりな父親と問題を抱
える息子という図式で、トランスジェンダーの問題を抜きに
しても見ることができる。実際に僕は、自分が息子を持つ身
として、いろいろ考えながら見ることができた。
トランスジェンダー以外にも、ドラッグやアル中や先住民や
宗教などいろいろな問題が語られる。アメリカという国が、
如何にいろいろな問題を抱え込んだ国であるかが良く解かる
映画ということもできる。
でも、全体は最初にも書いたようにユーモラスな語り口で、
楽しく見ることができる作品だった。
『ロンゲスト・ヤード』“The Longest Yard”
1974年のバート・レイノルズ主演作品のリメイク。
極悪刑務所で、看守と囚人がスポーツ競技で対決するという
物語は、2001年にイギリスで競技をサッカーに変え、インス
パイアされた作品として映画化(2002年8月2日紹介)され
ているが、本作は元のアメリカンフットボールに戻して正式
にリメイクされたものだ。
1974年のオリジナルは、翌年の日本公開を確か渋谷パンテオ
ンで観ているはずだが、実は当時はアメリカンフットボール
のルールが良く解かっていなくて、何となく釈然としなかっ
た記憶がある。でも今回は、ルールもちゃんと理解している
ので、面白く観ることができた。
それでオリジナルの物語もうろ覚えだったのだが、今回の作
品を観て、2001年のイギリス映画が実にオリジナルに忠実で
あったことも理解した。まあ、それだけオリジナルの映画が
素晴らしかったと言うこともできるが、本作はそれに加えて
VFXを駆使した試合の描き方で進化した作品というところ
だろう。
主演はアダム・サンドラー。サンドラー主宰のハーピー・マ
ディスンとMTVの共同製作で、元々サンドラーは製作だけ
の予定だったが、完成された脚本を読んで主演を買って出た
というもの。お陰で本来はMTVの親会社のパラマウントの
単独配給だったが、サンドラー主演作品の権利を持つソニー
が海外配給権を獲得することになった。
共演は、クリス・ロック、ジェームズ・クロムウェル、さら
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03月31日(金)
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