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On the Production
by 井口健二
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■第107回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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アカデミー賞の結果は、いまさら報告するまでもないと思
うが、取り敢えず視覚効果賞のオスカーは“King Kong”=
ウェタに贈られた。同作は他に、音響ミキシングと音響編集
も受賞した。因に、この3賞には“War of the Worlds”も
候補になっていたものだが、兎角オスカーは集中することが
多く、今回はそれが“Kong”に集中したものだ。ただしこの
2作はVESAwardsでは賞を分け合っていたもので、それが
アカデミー賞で“Kong”に軍配が挙がった結果には、以前は
常勝と言われた“Worlds”=ILMの求心力の低下も気にな
るところだ。ましてや、スティーヴン・スピルバーグ+トム
・クルーズ=2枚看板の作品での敗戦はちょっと痛い。
一方、スピルバーグに関して言えば、彼が製作を担当した
“Memoirs of a Geisha”が、撮影、美術、衣裳の3賞を受
賞したが、これはスピルバーグに監督賞を受賞させなかった
ことに対する代償のようにも取れる。実際、発表のたびに笑
顔を見せていたスピルバーグは、内心は覚悟していたという
ところだろう。またメイクアップは“Narnia”が受賞、これ
により“Star Wars”の最終作は無冠に終ってしまった。
さらに、長編アニメーション賞は“Wallace & Gromit”が
受賞した。これについて一部日本の新聞報道では、「ハリウ
ッド式の行き詰まりの現れ」などと論評していたが、この作
品は、内容的には評価されていても年間の興行成績が上位な
訳ではなく、アニメーション興行第1位の“Madagascar”に
比べたら1/3も稼いでいないのだから、これをもってハリ
ウッド式の行き詰まりとされてはたまったものではない。逆
に言えば、こういった作品もちゃんと評価して、配給公開す
るハリウッドの包容力の方を評価するべきものだろう。
それから短編アニメーション賞は“The Moon and the Son
: An Imagined Conversation”という作品が受賞して、期待
した“9”の受賞はならなかった。
以上が僕の気になった部門の報告だが、主要賞の方では、
番狂わせと言われている作品賞の“Crash”は、今回は数少
ない試写で見ていた作品の1本で、自分なりにも評価してい
ていたので嬉しかった。また長編ドキュメンタリー賞を受賞
した“March of the Penguins”も自分の好きな作品だった
から、この辺は納得の行く結果と思っているところだ。
ということで、盛り上がらないアカデミー賞の話はこれく
らいにして、以下はいつもの製作ニュースを報告しよう。
* *
最初はシリーズの話題からで、昨年秋に公開された第2作
もスマッシュヒットとなった“Saw”シリーズの第3作“Saw
3”が、今年10月27日の全米公開を目指して製作されること
が発表された。
この第3作に関しては、日本での第2作の試写会の後に行
われたダレン・リン・ボウスマン監督の記者会見で、「製作
者のグレッグ・ホフマンが、自分のブログに第3作で頭が痛
いと書き込込んでいた」と発言するなど既定の事実となって
いたものだ。ところが、その後の12月8日にホフマンが急死
する事態となり、一転、実現が危ぶまれることになった。し
かし製作元のツイステッド・ピクチャーズは、ホフマンの遺
志を継いでシリーズを継続することにしたものだ。
その第3作の監督はボウスマンが引き続き担当することに
なった。彼は第2作のオリジナル脚本を執筆し、その脚本が
第1作の脚本家のリー・ワネルによって“Saw 2”へと改作
されて、監督も務めたものだが、その演出は製作も兼ねるワ
ネルの信頼を勝ち得たようだ。そして第3作の脚本は、ワネ
ルと第1作の監督ジェイムズ・ワンのアイデアに基づき、ワ
ネルが執筆することになっている。
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03月15日(水)
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