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On the Production
by 井口健二
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■第106回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 今回は、前回予告したVESAwards受賞結果の報告から。
 まず、4本がノミネートされたVFX主導映画のVFX賞
は“King Kong”。3本ノミネートのVFX主導でない映画
のVFX賞は“Kingdom of Heaven”。3本ノミネートの単
独のVFX賞には“War of the Worlds”での近隣の人々が
逃げ惑うシーンが選ばれた。
 この他、背景賞は“King Kong”でのニューヨークの攻撃
シーン。ミニチュア賞は“War of the Worlds”。合成賞も
“War of the Worlds”。実写映画におけるアニメーション
キャラクター賞は“King Kong”のコング。そしてアニメー
ション映画におけるキャラクター賞は“Wallace & Gromit:
The Curse of the Were-Rabbit”のグルミットが選ばれた。
 つまり、VFX主導映画では、“King Kong”と“War of
the Worlds”が3賞ずつを分け合ったものだが、これはIL
Mとウェタが分け合ったことにもなった訳で、しっかりバラ
ンス感覚を伴った結果とも言えそうだ。一方、この結果は、
最終的な興行成績ではトップ3となる“Star Wars”“Harry
Potter”“Narnia”を蹴落として、下位の作品が受賞した
ことにもなるものだが、この辺がプロの見方ということにな
るのだろう。この結果がアカデミー賞にどのように影響する
かも面白くなりそうだ。
 なお映画部門の結果は以上だが、ついでにテレビ部門も結
果だけ報告しておくと、まずミニシリーズ、スペシャル番組
におけるVFX賞は“Walking with Monsters”。シリーズ
番組におけるVFX賞は“Rome-Episode 1”。VFX主導で
ない番組におけるVFX賞は“Lost-Exodus Part 2”。また
実写番組(CF、ミュージックヴィデオを含む)におけるア
ニメーションキャラクター賞は“Battlestar Galactica”の
サイロン・センチュリオン。背景賞は“Into the West”。
ミニチュア賞は“Las Vegas”。合成賞は“Empire”となっ
ている。
 さらに個人に贈られる芸術貢献賞としてのジョルジュ・メ
リエス賞を、ピクサーの創始者のジョン・ラセターが受賞し
たことも報告されていた。
 因に、往年の話題シリーズをリメイクした“Battlestar
Galactica”は、受賞対象は第2シーズンのものだったが、
第1シーズンのエピソードも同時にノミネートされるなど、
頑張っているようだ。
        *         *
 以下は、いつもの製作ニュースを紹介しよう。
 まずは前回、次回作として“Maps to the Stars”という
作品の計画を紹介したデイヴィッド・クローネンバーグ監督
から、さらにもう1本の計画が発表された。
 今回発表された作品は、“Eastern Promises”という題名
で、2002年にスティーヴン・フリアーズ監督で映画化された
『堕天使のパスポート』(Dirty Pretty Things)などの脚
本家スティーヴ・ナイトの新作を映画化するもの。物語は、
脚本家の前作と同じくイギリスの首都ロンドンで社会の底辺
で暮らす人々を描いており、本作では若い助産婦の女性が、
クリスマスイヴの日に出産で死亡したロシア人女性の身元を
辿る内に、国際的な売春組織の抗争に巻き込まれて行くとい
う内容のようだ。
 題名の「東方の約束」というのは、何だか宗教的なイメー
ジも湧きそうで、しかもクリスマスイヴに関わる物語という
ことでは一層その思いが高まるところだが、監督がクローネ
ンバーグということでは、これも一筋縄では行きそうにない
感じのものだ。
 そしてこの脚本の映画化は、元々はBBCの映画製作部門
で進められていたものだが、BBCが海外配給権をユンヴァ
ーサル傘下のフォーカスと契約したことから、クローネンバ
ーグの起用につながったようだ。また製作には、リメイク版

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03月01日(水)
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