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On the Production
by 井口健二
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■第105回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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今回は、前回予告した通り、アカデミー賞候補について最
初にまとめようと思ったのだが、まあなんと言うか、今年は
SF/ファンタシー映画のファンにはあまり面白味のないも
のになってしまった。下馬評でも、SF/ファンタシー系の
作品はおろか、ハリウッドの大手映画会社の作品もほとんど
題名が挙がらなかったから、これは仕方がないところだが、
それにしても、5本の作品賞候補の中に大手映画会社の作品
が1本だけというのは1996年度以来のことだそうだ。
とまあぼやいてばかりでも仕方がないので、数少ないSF
/ファンタシー系の作品を見て行くことにすると、まずは、
例年確実な視覚効果賞部門の候補には、“The Chronicles
of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe”と、
“King Kong”“War of the Worlds”の3本が挙げられた。
ここで前々回に紹介したVES Awardsの候補と比較する
と、VESの作品賞候補4本の中には“War of the World”
は入っていなかった。代りにVESでは“Harry Potter and
the Goblet of Fire”“Star Wars: Episode III Revenge
of the Sith”が入っていた訳だが、この違いはちょっと微
妙なところだ。因に、2月15日はVES Awardsの受賞式が
行われる日だが、その結果は次回紹介しよう。
話をアカデミー賞に戻して“Narnia”は他にメイクアップ
と音響ミキシング、“King Kong”は美術と音響ミキシング
と音響編集、“War of the Worlds”は音響ミキシングと音
響編集の各賞の候補にもなっている。
この他の候補は一つずつで、“Batman Begins”が撮影、
“Charlie and the Chocolate Factory”が衣裳デザイン、
“Harry Potter”が美術、“Star Wars: Episode III”がメ
イクアップの候補になっている。ここで“Star Wars”は、
シリーズの最終作が1部門の候補にしか選ばれなかった訳だ
が、一昨年の“Lord of the Rings”の最終作が史上最多の
受賞を果たしたのに比べると、28年掛けたシリーズが有終の
美を飾れなかったのは寂しいところだ。
一方、長編アニメーションは、“Howl's Moving Castle”
と“Tim Burton's Corpse Bride”“Wallace & Gromit: The
Curse of the Were-Rabbit”の3本が候補になった。この
内、“Corpse Bride”と“Wallace & Gromit”は予想した通
りだったが、3本目に“Howl”が来るとは思ってもみなかっ
た。確かにこの作品は事前のアニー賞などでも評価が高かっ
たようだが、それにしてもこの3本は、何れも流行りのCG
アニメーションではないもので、まあ無理矢理CGを外した
結果がこうなったという感じだ。
なお、短編アニメーション部門には、2005年8月1日付第
92回で紹介した“9”も5本の候補の中に入っており、僕と
してはこの辺の結果が一番楽しみになりそうだ。
受賞式は3月5日(日本時間6日)に行われる。
* *
以下は、いつものように製作ニュースを紹介しよう。
まずは、『シン・シティ』の撮影には特別監督という肩書
きで参加したクェンティン・タランティーノ監督と、ロベル
ト・ロドリゲス監督が、今度は2人で2本立ての映画を監督
する計画を発表している。
この計画は、全体が“Grind”若しくは“Grindhouse”と
いうタイトルで進められるもので、それぞれロドリゲス監督
は“Planet Terror”というゾンビホラー、タランティーノ
監督は“Death Proof”というスプラッターホラーを撮ると
いうもの。そしてこれらの作品は1時間ずつの上映時間で、
その間にはインターミッションが設けられ、タランティーノ
監督による“Cowgirls in Sweden”というピンク映画か、カ
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02月15日(水)
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