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On the Production
by 井口健二
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■ピーナッツ、スタンド・アップ、バトル7、Mr.&Mrs.スミス、イヌゴエ、ホテル・ルワンダ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ピーナッツ』
ウッチャンナンチャンの内村光良第一回監督作品。内村の主
演に、三村マサカズ、大竹一樹、ゴルゴ松本、レッド吉田、
ふかわりょうらが共演する。
内村は、元々が横浜放送映画専門学院の出身で、以前テレビ
番組でも、監督の真似事(当時の‘a Uchan Film’の表記に
は、冠詞の使い方が間違っているとテレビを見ながら突っ込
んでいたものだ)のようなコーナーを持つなど、監督への思
い入れが強く感じられたものだ。
その内村監督の第一回作品ということだが、正直に言って、
出演者の顔ぶれを見たときにはかなりの危惧を感じた。実際
この顔ぶれで真面な演技が期待できるとは思えなかったし、
ヴァラエティの延長のような作品だったら、それこそ怒り心
頭というところだ。
それでも試写会を見に行ったのは、上記の内村の思い入れが
どれほどのものだったのか、自分の目で確認したかったとい
うところもある。そんな気持ちで行った試写会だったが、思
いの外と言ったら失礼になるが、映画は予想以上のしっかり
とした作品だった。
物語は、地方都市の商店街が舞台。そこには昔ピーナッツと
いう名前の軟式野球チームが存在し、伝説のサードと呼ばれ
た秋吉を擁したチームは優勝の栄光を勝ち取ったこともあっ
た。しかし、現在の商店街には人通りもまばらで、野球どこ
ろではなくなった商店街には、商店の大半を廃業に追い込む
再開発の計画も持ち上がっていた。
そんな町に秋吉が帰ってくる。彼は10年前、チームの優勝の
軌跡を綴った文章が認められてスポーツライターとして東京
に進出し、一時は売れっ子だったのだが、最近はスランプに
陥っていた。そんな秋吉は、昔のチームをネタに起死回生の
ドキュメントを書こうとしていたのだ。
こうして昔のチームメイトを再招集して、チームの再興を画
策した秋吉だったが、その先には故郷の未来を決定する大一
番が控えていた。
ということで、後半のかなりの部分を野球の試合が占めるこ
とになるが、試合の展開にはあまり無理もなく納得できた。
実際、強豪チームを相手にしてこのような展開はあり得るこ
とだし、まあ多少の夢の入った部分はあるが、全体的には納
得してそれなりに手に汗握る感じだった。
それにこのシーンでも、またそれ以前のシーンでも、出演者
たちの演技がしっかりと演出されていることもさることなが
ら、お笑いの人たちがちゃんとお笑いの顔を出しながらドラ
マを作り上げている点には感心した。それもテレビの使い回
しのギャグでお茶を濁すようなこともない。その辺のバラン
ス感覚にも感心したものだ。
実際、お笑い劇団系の人の映画も最近見る機会があったが、
中には常連の観客にアピールすることしか考えていないので
はないか、と思うような独り善がりの作品もあって、困って
しまったものだ。その点でも今回の内村作品は、普通にコメ
ディ映画になっているもので、その点の一般向けのアピール
度は合格点と言えそうだ。
北野武監督は別格として、コメディアンが監督した作品は過
去に何本か見ているが、得てしてシュールな芸術作品だった
り、北野の場合もそうだがコメディではないものを見せられ
ることも多い。
そんな中で、内村監督が正面切ってこのようなコメディ作品
を作ってくれたことには拍手を贈りたいし、これから監督業
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11月29日(火)
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