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On the Production
by 井口健二
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■東京国際映画祭2005(アジアの風・日本映画ある視点)
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※このページでは、東京国際映画祭のコンペティション、※
※アジアの風および日本映画・ある視点部門で上映された※
※作品から紹介します。なお紹介する作品は、コンペティ※
※ション部門の作品が14本と、その他の作品が14本です。※
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<アジアの風>
『月光の下、我思う』
1960年代の台湾で離婚した母親と、教師になったばかりの娘
を巡るドラマ。厳格な母親は娘の恋愛にも口を出すが、やが
て娘宛の恋人からの手紙を盗み読むようになり…
親子は東京からの帰国者という設定で、身の回りの世話をす
る福さんと呼ばれる日本人女性がいたり、娘は「黄色いサク
ランボ」の中国語盤のレコードを聴いていたり、何とも不思
議なムードが漂う作品だった。そんな中で、外省人と呼ばれ
る本土からの亡命者の存在や、政府を批判したために終身刑
になったものが送られるという離島の監獄の話など、日本で
は中々聞こえてこない台湾の現実が垣間見えて、それだけで
も興味深く見ることができた。
と言っても、物語の主眼はそこにあるのではなく、母親と娘
の異常な確執が描かれるのだが、それもまたちょっと驚かさ
れる展開となるもので、何かいろいろな意味で教えられるこ
との多い作品のように感じられた。物語には原作があるよう
だが、少し注目してみたくなるような作品だった。

『チョコレート・ラップ』
台湾映画初のヒップ・ホップムーヴィと称せられた作品。ブ
レイクダンスに興じる若者たちの生態が描かれる。
日本でも、ヒップ・ホップムーヴィと称する作品を最近見た
ように思うが、つまりは最近の流行に乗せられた作品という
ところだろう。演じられるブレイクダンス自体は、かなりト
リッキーでそれなりに面白かったが、手をついて足を振り上
げるような仕種は、何となく鞍馬な何かの体操競技を見てい
るようで、これがダンスかという感じもしたものだ。
正直なところ、激しいダンスと言われても、つい最近『RI
ZE』を見せられた後では…というところもある。もっとも
この映画はドラマであって、お芝居のなのだし、その中で完
結していればそれでいいのだが、でもしばらくはあの衝撃か
ら抜け出せそうにない。
ついでに言えば、映画の中でブレイクダンスのルーツが太極
拳にあると言わんばかりの展開になった辺りで、多少ずっこ
けた部分もあるのだが。

『飛び魚を待ちながら』
台湾の南海の離島を舞台に、都会から来たOLと島の青年の
交流を描いた物語。
主人公の青年は、年長の兄弟は皆都会に出て行った中で、島
に残って観光客相手のその日暮らしような生活をしている。
一方、都会から来たOLは島で携帯電話の受信状態の調査を
すると言っているが、彼女が離島に来た理由はそれだけでは
ないようだ。そして青年は、島で1台だけのオープンカーを
彼女に貸したり、島の案内をして彼女に接近して行くが…
素朴な離島の風景を背景にした青春映画という感じの作品だ
が、台湾本土に戻るためには身分証明を要求されたり、ちょ
っと日本人では思いつかないような現実も描かれている。
と言っても物語自体は、本当に美しい南海の海を背景にした
青春ドラマで、自分が主人公のどちらかだったらどうするだ
ろうと思いつつも、まあそんなことはないだろうという感じ
の作品だ。結局のところ、それだけの作品ではあるが、見て
いる間だけは、美しい海に心洗われるような気分になれる。
それだけでも良いのではないかとも思える作品だった。

『おまえの勝手にしやがれ』
ゴダール作品にインスパイアされたと言う1991年製作の韓国
映画。何故かアメコミのThe Silver Surferがフィーチャー
されていて、スーパーヒーローに心酔するチンピラの主人公
が、日本人留学生なども巻き込んで騒動を引き起こす。
アメコミ風のイラストやアニメーションなどもちりばめて実
験的な映像が展開され、多分当時は斬新だったのだろうが、

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11月12日(土)
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