ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■イエスタデイ・ワンスモア、ミリオンズ、コープスブライド、ビッグ・スィンドル、旅するジーンズと・・・、ビタースイート、探偵事務所5
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『イエスタデイ、ワンスモア』“龍鳳鬥”        
『ベルベット・レイン』に続くアンディ・ラウ主演作品。ま
た本作は、相手役のサミー・チェン、監督のジョニー・トー
と共に、ゴールデントリオと呼ばれる3人による3部作の最
終編(物語は独立)だそうで、ゴージャスな雰囲気の中で描
かれるちょっと切ないロマンティックサスペンスだ。   
主人公は、人も羨む富豪夫妻。しかしある日、夫が一方的に
離婚を宣言し姿をくらましてしまう。実はこの2人、本業は
高級品専門の泥棒というか詐欺師で、それまでは2人の協力
で順調に仕事をしてきたのだったが…          
そして2年後、元妻は資産家の息子からプロポーズを受けて
いたが、その誠意の証として彼の母親が所有する宝飾品のネ
ックレスを要求する。ところがそのネックレスが銀行の貸金
庫から取り出されたとき、突然現れた窃盗団がそれを強奪し
てしまう。                      
その様子をビルの上から監視していた元妻は、その手口が元
夫のものであると見抜き、彼の後を追い始める。そして映画
は、この2人の姿を香港各所の高級店や高級車、さらにイタ
リアロケまで織り込んで、ゴージャスにそして華麗に描いて
行く。                       
香港のセレブになった気持ちで、これらの高級店や高級車を
堪能できればそれで良い作品かも知れない。しかし映画を見
ている内に、物語はそこから一歩踏み込んで、本当に人を愛
するということが、一体どのようなことなのかを説いている
ことに気づかされる。                 
原題の意味は、王者同士の頭脳合戦というようなことを表し
ているもののようだ。詐欺師元夫婦の虚々実々の頭脳戦。し
かしその裏にあるのは、愛する人のために全てを捧げ尽くす
主人公の物語なのだ。                 
以下にネタばれあります。       
詐欺師の物語らしく、真実がどこにあるのかは最後まで判ら
ないように作られている。しかしラウのちょっとした仕種な
どで、徐々に真実が明かされて行く。それが実に切ない。で
も自分がもし同じ立場だったら、多分同じことをしてしまう
だろう。そんな共感も持てる作品だった。 
                           
『ミリオンズ』“Millions”              
『28日後...』などのダニー・ボイル監督の最新作。    
イギリスポンドのユーロ転換を目前にしたある年の年末。母
親を病気で亡くし、その上の引っ越しと転校で多少情緒不安
定になっている兄弟の弟の前に、大量のポンド紙幣を詰めた
スポーツバッグが空から落ちてくる。          
弟はそれを兄に話すが、兄弟はそれを隠して2人のために有
効に使おうと決心する。そして弟は、宗教的な考えに基づい
て貧しい人々への施しを始めるが、幼い弟には貧しい人々を
見つけることもなかなかできない。           
これに、弟の気持ちに応えるいろいろな聖人や、一風変った
人物たちが登場してさまざまなドラマを作り上げて行く。 
先日『チャーリーとチョコレート工場』を見てきた家内が、
「主人公が拾ったお金で最後のチョコレートを買うのが教育
上良くないのではないか」と言い出した。これはダールの原
作も同じで、そのことは家内が原作を読んだときにも言い出
したものだったが…                  
そのことを友人と話し合ったところ、ニューオルリンズでの
略奪横行を見ても感じるが、元々が狩猟民族の西欧人には、
所有者の判らないものは自分のものにしていいという考えが
あるのではないか、という結論になった。        

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09月30日(金)
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