ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459850hit]

■Movies−High 6
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、毎年招待を受けているNWC(ニュー※
※シネマワークショップ)の新作発表会に今年も出席させ※
※てもらったので、その感想を述べさせていただきます。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
今年のMovies−High 6では、特別プログラムと
してプロの監督が講師となっている演技クラスの作品も上映
された。                       
作品は、『青空のゆくえ』を7月に紹介した長澤雅彦監督に
よる6本と、古厩智之監督の4本、五十嵐匠監督の2本、富
樫森監督の4本だが、これらの作品はプロの脚本演出による
ものであり、また、監督たちはこのような上映を想定してい
なかったと思われるので、詳しく紹介することは遠慮する。
しかしそれぞれさすがプロという感じがしたものだ。   
特に、長澤監督の6本は、全体を『Doors』というタイ
トルで括った連作になっており、それぞれは短編と言うより
ショートショートと呼びたくなる長さの作品だが、機知に富
んだもので、このままフィルムで撮り直して一般上映してほ
しくなるような作品だった。              
他の3人の監督の作品も、それぞれ短編映画としてきっちり
と纏まったものだったが、その中で古厩監督の4本は見事な
会話劇で、学んでいるとは言え、まだプロではない出演者た
ちにこれだけの演技をさせていることにも感心した。   
全体を通して演技の質はかなり高く、一部日本映画の飛んで
もない演技を見せられている目には心地よく感じられ、来年
もこの企画は続けてもらいたいと思ったものだ。     
と言うことで、以下には今回上映された12人の新人監督の作
品の感想を述べさせていただきます。          
                           
『ボクと彼女とりんご』                
何となく倦怠期の2人。ちょっとしたことで口喧嘩になった
り、会話もちぐはぐになっているが、些細な出来事でその関
係が元に戻って行く。                 
青春にありがちな風景のスケッチかも知れないが、多分、そ
の青春真っ只中にいる監督の感性が、素敵な物語を作り出し
ている。実は男性が遭遇した出来事は、そんなに些細なこと
ではないのだが、そんなことはどうでも良くなってしまうよ
うな最後の会話が、見事に映画を締め括っている。躊躇なく
好きと言える作品だろう。               
                           
『ソーダポップホリデー』               
大学3年だが、生活実感のまるでない4人の女子学生の夏の
1日。セレブに憧れる4人は、着陸コースの真下の海岸から
手旗でパイロットに電話番号を伝えようとするが…    
こんな女子学生、本当にいるのかなと思いながらも、まあフ
ィクションだからこの程度は許容できるかなと言うところだ
ろう。その行為のむなしさに気付く辺りを、もう少し丁寧に
描いてもいいかなとも思える。また、本作はこれだけでも短
編として充分に成立してる作品ではあるが、逆にもっと長い
作品の途中に納めても良いような感じもする。そんな作品も
見てみたいと思った。                 
                           
『GAME OVER』                
青年実業家との結婚を控えた女性が誘拐されるが、誘拐の際
に携帯電話が紛失する。そこで犯人は彼女のうろ覚えの電話
番号に脅迫電話をかけるが…              
どじな誘拐事件とそれに振り回される人々を描くコメディは
有り勝ちなものと思うが、携帯電話の使い方とのその顛末に
は新しいものを感じた。ただし結末は、これではちょっと単
純すぎていただけない。ここからもう一捻りするのがプロと

[5]続きを読む

09月28日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る