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On the Production
by 井口健二
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■第95回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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最初は訃報から。
“West Side Story”や“The Sound of Music”の名匠ロ
バート・ワイズ監督が亡くなった。前記の2作でのアカデミ
ー賞監督賞受賞で知られるワイズ監督だが、SF/ファンタ
シー映画ファンには、やはり1951年の“The Day the Earth
Stood Still”、1971年の“The Andromeda Strain”、1979
年の“Star Trek−The Motion Picture”で印象深い。因に
ワイズ監督は、RKO映画の編集室でオースン・ウェルズ監
督の“Citizen Kane”などの編集を担当した後に、1944年の
“The Curse of the Cat People”で前任者が降板したこと
から、それを引き継ぐ形で監督業に進出。翌年にはボリス・
カーロフ、ベラ・ルゴシ共演で、ロバート・ルイス・スティ
ーヴンスンの短編小説を映画化した“The Body Snatcher”
を手掛けるなどホラー畑でスタートした人だった。そしてそ
の後も、1963年には99年にヤン・デボン監督がリメイクした
“The Haunting”(たたり)や、77年にも“Audrey Rose”
を手掛けており、ホラーの道も踏み外さなかった人だ。
晩年は、確か監督協会の会長も務めていたはずだし、功な
り名を遂げた感じだろう。91歳の年齢も正に天寿という感じ
のするものだ。ご冥福をお祈りしたい。
* *
続いては記者会見の話題で、10月公開の“Stealth”(ス
テルス)に関連して主演ジェシカ・ビールと監督ロブ・コー
エンの来日記者会見が行われた。僕はこの作品に関しては、
8月14日付の映画紹介にも書いたように扱いに苦慮したもの
だが、それは別として会見で述べた監督の映画に対する考え
方には多少興味を引かれたので、ここで紹介しておきたい。
その一つ目は、記者団からの「いつもスピードをテーマに
しているようだが何故か」という質問に答えたもので、その
答えは、「中学生の頃にアインシュタインの相対性理論を学
んで、速度が速くなると時間が長くなるという関係に興味を
持った。それは映画に通じるところもあるし、自分にとって
スピードは最も重要なものだ」ということだ。ここで相対性
理論が出てくるとは思わなかったが、この他にも本作で自信
のあるシーンとして、CGIのステルス機を実写の航空母艦
に着艦させるシーンを挙げるなど、どちらかというと文科系
より理科系の話題の方が好きな人に見えた。まあそれは、映
画を見ていても感じられるところではあったが。
ちょっとネタバレあります。
しかしその一方で、エンディングロールの後での続編への
繋ぎを思わせるシーンについては、「『精神の不滅』を描き
たかったもので、続編を作る考えはまったく無い。過去に自
分の作品の続編にも関わらなかったし、大体続編で優れてい
ると言えるのは、“Spider-Man 2”と“Godfather 2”ぐら
いなもので、その他にはろくな作品が無い」と言う考えだそ
うだ。これも予想された答えではあったが、精神の不滅論の
辺りはちょっと興味を引かれた。これらを踏まえて、次回作
には本格的な未来SFなども期待したいものだ。
ということで、以下は製作ニュースを紹介しよう。
* *
まずは、“War of the Worlds”が予想以上の大ヒットと
なったパラマウント=ドリームワークスから共同製作でもう
1本、“War of…”のオリジナル版が映画化された1953年の
前々年に同じくジョージ・パルが製作したフィリップ・ワイ
リー原作“When the Worlds Collide”(地球最後の日)を
リメイクする計画が発表された。
この計画については、4月15日付第85回でも紹介したが、
元々はオリジナルを製作したパラマウントが単独で進めてい
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09月15日(木)
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