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On the Production
by 井口健二
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■第94回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 今回はこの情報から。
 昨年公開の“Troy”では神話に描かれた戦争を見事に再現
してみせたワーナーから、今度は史実に基づく古代の戦いを
映画化する計画が発表された。
 その戦いとは、紀元前481年から480年に掛けてギリシャの
テルモピレーで勃発したスパルタ軍vs.ペルシャ軍の戦争。
この攻防では、スパルタの王レオニダスに率いられた300人
の精鋭戦士たちが、圧倒的な勢力を持つペルシャ軍に挑むが
全滅。しかしこの行為がギリシャの国民にペルシャへの反攻
の気運を呼び起こし、この民衆からの動きが後の民主主義の
種を根付かせた意味も持つとも言われるものだそうだ。
 といっても今回の計画は、実は“Sin City”などのフラン
ク・ミラーが手掛けた“300”と題されたグラフィック・ノ
ヴェルを原作とするもので、その意味ではコミックスの映画
化でもあって、いわゆる歴史ものとはちょっと違った雰囲気
の作品になりそうだ。あのスタイリッシュな画面構成が、古
代の戦いをどのように表現しているかにも興味を引かれる。
 そしてこの計画では、2004年のリメイク版“Dawn of the
Dead”を手掛けたザック・スナイダーが監督に起用され、前
作にも協力したカート・ジョンスタッドと共に、ミラーの原
作に基づく脚色も行っている。
 僕自身は、“Dawm…”のリメイク版に関してはあまり評価
していないものだが、若いファンの間では結構話題になって
いたようで、それなりのスタイルやスピード感は評価された
ようだ。その評価に見合う作品を期待したい。ただし今回の
計画では、原作者のミラーが製作総指揮に名を連ねているの
で、あまり原作から掛け離れたものには出来ないだろう。
 撮影は10月17日にモントリオールで開始の予定で、主人公
のレオニダス王役には、“Phantom of the Opera”や“Lara
Croft Tomb Raider: Cradle of Life”、それに“Dracula
2000”(ドラキュリア)などのジェラルド・バトラーの出演
が発表されている。
 歴史を描いたエピックものと呼ばれるジャンルの映画は、
“Troy”も含めて今一つアメリカ国内で興行成績が上がらな
いようだが、海外での興行の伸びは著しいものがあるという
ことで、今回の計画もその辺りを踏まえてイギリス出身のバ
トラーの起用ということにもなっているようだ。また、今回
の題材となるテルモスピーの戦いは、人類史上の偉大な戦い
の一つと言われ、現在のアメリカ軍でも士官学校での戦術研
究の対象になっているということで、その辺りの現代に通じ
る部分にも期待が持たれそうだ。
        *         *
 お次は、1974年のニクソン政権の崩壊を、その周囲にいた
女性たちの目で捉えたジョン・ジェッターの舞台劇“Dirty
Tricks”の映画化が、“Running With Scissors”などのラ
イアン・マーフィの製作、脚色、監督により、パラマウント
で進められることが発表された。
 そしてこの映画化では、主人公となる大統領の取り巻きス
タッフのチーフだったジョン・ミッチェルの妻マーサ役を、
メリル・ストリープが演じる他、ホワイトハウス報道官のヘ
レン・トーマス役をアネット・ベニング、ミッチェルに対抗
していたジョン・ディーンの妻モウリーン役をグウィネス・
パルトロー、大統領の妻パット・ニクソン役をジル・クレイ
バーグが演じることになっている。因に、ストリープを除く
3人は“Running…”でも共演しているものだ。
 一方、マーフィは、以前からストリープが主演する映画の
題材を探しており、昨年の秋にジェッターの舞台劇を見て、
自己資金で映画化権を獲得していたというもの。そして映画
化に際しては、女性と政治の問題を前面に出した内容にする

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09月01日(木)
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