ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ステルス、SHINOBI、ボム・ザ・システム、あそこの席、@ベイビーメール、TKO HIPHOP、ヘッドハンター
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『ステルス』“Stealth”                
『ワイルド・スピード』『トリプルX』のロブ・コーエン監
督の最新作。テロ対策用に組織された3人の精鋭パイロット
で構成されたステルス戦闘機部隊に、AI搭載の無人戦闘機
が配属されたことから始まる近未来ドラマ。       
この3人のパイロットに、ジョッシュ・ルーカス、ジェシカ
・ビール、そして『レイ』でアカデミー賞オスカー主演男優
賞を受賞したばかりのジェイミー・フォックスが扮し、サム
・シェパード、ジョー・モートンらが脇を固める。    
正直に言って評価に苦慮する作品だ。          
何たって物語の中では、テロリストを倒すという名目で東南
アジアの都市を攻撃して高層ビルを倒壊させたり、核弾頭を
隠しているからとタジキスタンの山間の砦を爆撃して麓の村
に死の灰をまき散らしたり、果てはシベリアから北朝鮮にま
で出撃してしまう。                  
これを本気で撮っているとしたら、いくらブッシュ政権下の
アメリカでも無神経過ぎるというものだ。ただしコーエン監
督は、前の作品でも多少そういう傾向はあるから、その可能
性が無いとは言い切れない。が、ここはアンチテーゼの作品
として考えたい。                   
そこでふと思いついたのは、1964年公開の『博士の異常な愛
情』だ。スタンリー・クーブリック監督によるこの作品は、
一人の将軍の妄想によって、当時のソ連に核攻撃を仕掛けて
しまうという内容だったが、明白に軍部批判の思想で作られ
ていたものだ。                    
そこで本作と比較すると、一人の大佐の妄想で繰り広げられ
る顛末は、『博士…』と見事に符合してる。また『博士…』
はイギリス映画だが、実は配給を現在ソニー傘下のコロムビ
アが行ったもので、その意味では、本作はそのリメイクと言
ってもよいものなのだ。                
ということで、物語を納得すれば、後は空中戦から巨大な爆
発シーンまで、ディジタル・ドメインのVFXによって繰り
広げられる映像の見事さと、加えて監督のメカフェチぶりが
今回も発揮されていて、その拘わりにも思わず納得してしま
う作品だった。                    
そんな訳で、七面倒くさいことは出来るだけ考えず、単純に
映像を楽しむ作品という評価にしたい。でもまあ、いろいろ
考えてしまうのが、僕の悪いところなのだが…      
なお、映画の中で無人機に搭載のAIはティン・マンと呼ば
れ、機自身もそう名告るが、これは言うまでもなく『オズの
魔法使い』のブリキマンのこと。それから考えると、3人の
パイロットはドロシーとライオンとカカシということになっ
て、これも符合している。               
そして『オズ』のブリキマンは、エメラルドシティに心を捜
しに行くが、本作では…。そういえば該当のシーンには、魔
法使いも肩書きを変えて登場していたようだ。本作は、この
ようなこともいろいろ楽しめる作品になっていた。    
                           
『SHINOBI』                  
山田風太郎の原作『甲賀忍法帖』から、映画『弟切草』など
の下山天監督がVFXを駆使して映像化した作品。主人公の
伊賀、甲賀それぞれの忍者朧と弦之介を、今一番旬な若手2
人とも呼べる仲間由紀恵とオダギリジョーが演じている。 
下山監督は、先に日台中合作映画の『アバウト・ラブ』でも
評価したばかりだが、1997年の監督デビュー作『CUTE』
も、当時に見て悪くないという印象を持った記憶がある。し

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08月14日(日)
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