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On the Production
by 井口健二
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■第92回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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今回は製作ニュースから、早速始めることにしよう。
まずは、“Charlie and the Chocolate Factory”(チャ
ーリーとチョコレート工場)が2週連続で全米第1位を記録
し、さらにこの秋には、企画と製作を担当したストップモー
ション・アニメーション作品の“Corpse Bride”(コープス
・ブライド)も公開されるティム・バートン監督の情報で、
ユニヴァーサル傘下のフォーカス・フューチャーズが配給す
る“9”と題されたCGIアニメーションの製作を行うこと
が発表された。
この作品は、シェーン・アッカーという監督が、今年度の
学生アカデミー賞で受賞を果たした同名の10分の短編作品を
長編化するもので、内容は、人間性が脅威に曝されているパ
ラレルワールドを舞台にした超現実的なファンタジー。映像
はCGIではあるもののストップモーションのような感覚で
作られた作品ということだ。まあバートンと言えばストップ
モーションのイメージだからこれは好適だろう。
そしてこの長編版の脚本には、『コープス…』を手掛けた
パメラ・ペトラーが参加することも発表されている。
またこの発表に当ってバートンからは、「短編作品では、
今までに見た映画の中で最も普通でない10分間を体験した」
というコメントが寄せられている。さらに、「シェーンは、
気が遠くなるほど詳細な想像力と、恐ろしいほど美しく、視
覚だけでなく感情の面でも鮮明な宇宙観を持っている」とも
語られているようだ。
なお、ハリウッド各社がアニメーションに力を入れている
中で、本作はフォーカスからは初の長編アニメーション作品
となるものだが、そこにバートンとは強力な助っ人と言えそ
うだ。因にオリジナルの短編作品には、今年度のアカデミー
賞短編部門の候補の資格もあるそうだ。
* *
お次は“Friday Night Lights”(プライド/栄光の絆)
のピーター・バーグ監督で、1982年にアーノルド・シュワル
ツェネッガーが主演した“Conan the Barbarian”(コナン
・ザ・グレート)などの原作者ロバート・E・ハワードの作
品から、“Bran Mak Morn”と題するシリーズを映画化する
計画が、ユニヴァーサルから発表されている。
ハワードは、1906年に生まれ、1936年に死去したアメリカ
の作家で、自殺で世を去るまでの最後の10年間に大量の作品
を、主にウィアード・テイルズ誌などのパルプマガジンと呼
ばれる大衆雑誌に発表している。その多くは、『コナン』に
代表される剣と魔法に彩られた冒険小説で、この種の作品の
始祖とも呼ばれている人物だ。
そして計画されている原作は、紀元5、6世紀のイギリス
を舞台にした歴史に基づく物語で、ローマ帝国や北方からの
脅威の下、題名にもなっているイギリス最初の王となる主人
公の活躍を描いた物語。架空の世界を背景にした『コナン』
とはちょっと違う傾向の作品のようだが、魔法などのファン
タジーの要素も織り込まれていると言われている。
なお、原作はウイアード誌に発表されたもののようだが、
長く忘れられ、1990年代になって再発見されてまとめられた
ということだ。そして現在は、5作の完成された小説と詩、
それにハワードが執筆した草稿なども公表されているようだ
が、そこからどのような映画化が行われるのか、またシリー
ズ化の期待もありそうだ。
一方、1998年の“Very Bad Things”に続いて上記の作品
と、普通の作品を撮ってきたバーグには、初めてのファンタ
シー作品ということになるが、「僕は子供の頃からアクショ
ン・ファンタシー、特に『コナン』の大ファンで、筋肉や世
界の見方も知っている」と自信を覗かせているようだ。
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08月01日(月)
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