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On the Production
by 井口健二
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■私の頭の中の消しゴム、シン・シティ、愛を綴る詩、そしてひと粒のひかり、エコーズ、チャーリーとチョコレート工場
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『私の頭の中の消しゴム』(韓国映画)
若年性アルツハイマーを題材にした純愛ドラマ。原作は、読
売テレビが2001年に製作した『Pure Soul』という
番組で、これを韓国を舞台にリメイクしたもののようだ。
主人公の女性は、最近ちょっと物忘れが多いことを気にして
いた。コンビニで買ったものと財布を忘れたり、会社に来る
道筋が判らなくなったり。しかしそんなものは、彼女が最近
感じた強いストレスのせいだと思っていたのだが…
一方、その健忘症は彼女に幸運ももたらす。コンビニで買っ
たものを忘れたことが、一人の男性との出会いを演出してく
れたのだ。そしてその男性との出会いから、彼女の幸福な人
生が始まると思われたが…
前にも書いたと思うが、ごく近い近親者に同じ病気の患者が
いる関係で、この種の物語にはいろいろ思うところがある。
実際、試写会では半信半疑で見ている人も多いのかも知れな
いが、僕自身は自分の経験に照らしてほとんどが納得して見
ている。
もちろん、現実はこんなに甘くはない面もあるし、現実に自
分の近親者の周囲での無理解による不愉快の経験も無い訳で
はない。だからこの作品が、周囲の人の理解の中で終わるに
しても、これからが大変だと思ってしまうところはある。
とは言っても、このような幸せが訪れることを本当に祝福し
たくなるのも、本心から言えるところだ。でも、そういうこ
とも患者本人は記憶していられない訳で、周囲の自己満足で
しかないことも確かなことだ。
それにしても、今年に入ってからだけでも何本もの同様の作
品があり、それだけ関心も高いのだろうが、それぞれの作品
で症例が見事に異なっているのも、この病気の多様性と、対
応の難しさを見せているようだ。
映画では前半で、人を許すことの重要性が説かれる。そこで
は人が過去にした行為を忘れることと説かれるのだが、それ
が後半の物語に見事に反映されて行く。僕は原作の番組は見
ていないが、この対比の仕方が見事なドラマを作り上げてい
た。
アルツハイマーではない自分には、この前半の物語も重要に
捉えたいと感じたものだ。
『シン・シティ』“Sin City”
原題にはFrank Miller'sという冠が付く。1980年代にバット
マンを描いて、以後のアメリカンコミックスの方向性を決定
づけた立て役者の一人と言われるフランク・ミラーが1992年
に発表したグラフィックノヴェルの映画化。
このグラフィックノヴェルを、『デスペラード』のロベルト
・ロドリゲス監督が、ミラー自身を共同脚本、共同製作、共
同監督に招き入れて映画化した。さらに、一部の演出にはロ
ドリゲスの盟友クェンティン・タランティーノも参加してい
る。
物語の舞台は、ロサンゼルスを模しているようだが、正規に
はベイシン・シティ、通称シン・シティ(罪深き街)と呼ば
れる街のオールドタウン。そこは娼婦たちによって自治が敷
かれ、彼女たちは一定の取り決めの下で折り合いを付けた生
活を続けていた。
そして、そこで暮らす女たちとその街に通う男たちとの間で
は、幾多の物語が展開されて行く。しかしその一方で、その
街の支配を狙う外部からの圧力も動き始めていた。
映画は、原作の第1話、第3話、第4話に基づくという3つ
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07月30日(土)
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