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On the Production
by 井口健二
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■さよならCOLOR、青空のゆくえ、空中庭園、チャッキーの種、銀河ヒッチハイク・ガイド、アイランド、奥様は魔女
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『さよならCOLOR』
竹中直人が原田知世をヒロインに迎えて監督・共同脚本・主
演した最新作。
竹中の監督作品は本作が5作目になるようだが、今までの作
品は1本も見ていない。これは多分試写状をもらっていなか
ったせいだと思うが、演技者としての竹中はいろいろ見てき
たので、それなりに興味はあったものだ。
物語の舞台は鎌倉。総合病院の勤務医として働く主人公は、
40代半ばで独身だが、飲み屋の女将が愛人だったり、女子高
生に援交を申し込まれたり、女性看護師のお尻を触っても冗
談で済ませられる程度の男性だ。
そんな主人公の前に一人の女性患者が現れる。彼女は主人公
の高校時代の同級生で、彼の憧れの的だったのだが…彼が名
前を告げても、彼女は彼のことを全く覚えていない。他の同
級生や先生のことは詳細に思い出せるのに、なぜか彼の思い
出だけが欠落している。
結局、彼の学生時代はそんな存在でしかなかった人間のよう
だ。しかし憧れの女性を前にした主人公は、彼女の病気克服
のため全力を挙げ始める。それは、同時に彼女に自分の存在
を思い出してもらう為でもあった。そしてその努力は徐々に
彼女に伝わって行くが…
ドラマになるような華やかなものではなかった青春。しかし
多くの学生時代はこの主人公のようなものであったはずだ。
そんなドラマにならない青春を見事にドラマにしてみせた、
そんな感じの作品。エピソードとして描かれる思い出には、
甘酸っぱいものを感じさせる。
そして彼女の為に全力を傾ける現在の主人公の姿が、実に等
身大で分り易く、見事に描かれて行く。
共演は、段田安則、雅子、中島唱子、水田芙美子。特に段田
の演じる普段とは違ったキャラクターが良かった。また、共
に医師役でゲスト出演の内村光良と中島みゆきが、それぞれ
良い感じで、竹中の監督としての力量を感じさせた。
実は先日、自分も同窓会があって、そこではお互い覚えてい
たりいなかったりでも、意外と自分が考えている以上に覚え
ているものだとも感じた。だから、こんな風に忘れられてし
まうということにはちょっと疑問に感じるところもあるが、
それは映画として、作品は素晴らしいものだった。

『青空のゆくえ』
『ココニイルコト』『13階段』などの長澤雅彦監督の最新
作。僕は上記の作品は見ていないが、第3作の『卒業』とい
う作品は東京国際映画祭で見て、それなりに評価をした記憶
がある。
中学3年の夏休み直前。バスケ部のキャプテンが家族の都合
でアメリカへ転校することを発表する。ところがその時、彼
が「やり残したことがある」と発言したことから、いろいろ
な波紋が広がり始める。
彼の周囲には、幼馴染みや、同姓なので名前を呼んだことの
ない学級委員長、バスケ部の女子キャプテンや、彼だけが話
し相手だった突っ張りの少女、さらに帰国子女などもいて、
それぞれの間で彼の思惑とは違った確執が始まる。
一方、彼には1年の時に不良少年グループに目を付けられ、
彼が助けることができずに登校拒否となってしまった友人も
いる。そしてその原因となった不良少年や、バスケ部の副キ
ャプテンなど、さまざまな人間関係が描かれて行く。
同じ日に見た『さよならCOLOR』とは正反対の、皆の注
目を浴びている少年の物語。でも彼自身に自覚はなく、また
男女の関係の自覚も薄い。そんな彼の態度が、一層、皆の思
いを乱れさせるのだが…そんなことにも無頓着だ。
ありそうで、なさそうで、そんな青春ファンタシーといった
感じの作品。今の中学生がこんなに清純かどうかも分からな
いが、ファンタシーとしては見終って清々しい気持ちになれ
る作品だった。
『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』のように

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07月14日(木)
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