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On the Production
by 井口健二
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■第88回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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今回はこの話題から。
5月19日に全米で公開された“Star Wars: Episode III-
Revenge of the Sith”について、日本のマスコミは興行記
録の更新と、自分のことのように浮かれているようだが、そ
うなると、いや待てと言いたくなるのがへそ曲がりな自分の
性分で、ちょっとその辺の状況を解説したくなった。
実は今回の興行記録に関して、公開翌週の火曜日5月24日
にVariety紙のウェブサイトに発表された歴代オープニング
記録では、“Episode III”の数字は1億840万ドル。これは
“Spider-Man 2”の1億1580万ドル、“Spider-Man”の1億
1480万ドルに及ばず、“Shrek 2”の1億800万ドルを漸くか
わして3位に食い込んだに過ぎないものだ。
しかしフォックスは、封切り3日間の興行成績は1億2470
万ドルの新記録と主張しているのだが、では何故このような
違いが出るのかというと、実はVariety紙などで興行記録と
して残されるのは、封切り後の最初の週末3日間(Opening
Weekend)の記録をいうもので、ここで週末というのは金土
日を指すものなのだ。
これは、アメリカの映画興行が通常金曜日に封切りになる
ためなのだが、今回“Episode III”の場合では、封切りが
木曜日であったために初日の数字が加算されず、2−4日目
の合計が記録の対象となってしまったのだ。この記録の採り
方が合理的かどうかは議論の余地があるところだが、現実に
そう決められているのだからこれは仕方がない。
つまりこの記録の採り方では、最近の週半ばに封切る方法
が不利であることは間違いないのだが、実は不動の第1位の
“Spider-Man 2”は、“Episode III”よりさらに早い水曜
日に封切られたもので、それでこの数字を残していると言う
ことは、封切りの方法などに多少のテクニックはあるようだ
が、単純に“Spider-Man”の人気の根強さを物語っていると
も言えるものだ。
一方、“Episode III”について言えば、初日の5月19日
の1日だけで5000万ドルという途方もない初日の数字が尾を
引いているもので、その後の推移は、1日ごとでは必ずしも
“Spider-Man 2”を上回っているものではない。実際にもう
一つの記録として残される1億ドル突破、2億ドル突破の日
数記録では、いずれも3日目と8日目で“Spider-Man 2”と
並んでいるもので、初日の分を差し引くとその間の数字では
“Spider-Man”を下回っているとさえ言えるのだ。
さらにこの後の記録では、3億ドル突破の最速が“Return
of the King”の22日目で、“Spider-Man 2”は25日目だっ
たものだが、今後この記録を抜くことが出来るか否か、これ
を抜いたときに初めて、新記録達成と言えることになりそう
だが…、その日限の21日目は6月8日となるようだ。
以上、“Star Wars: Episode III-Revenge of the Sith”
の興行記録について思うところを書いてみた。なお上記の記
録は、いずれも米国内(カナダを含む)を対象としたもので、
海外分は数字に含まれない。
以下は、いつものように製作ニュースを紹介しよう。
* *
まずは続編の情報が、今回はまとまって届いている。
最初は1990年に公開された“Dick Tracy”について、前作
を自らの製作、監督、主演で発表したウォーレン・ベイティ
が、その続編を計画していることが報告された。
この情報は、実はベイティが起した裁判によって明らかに
なったもので、この裁判では、原作の権利を保有しているト
リビュート新聞出版社に対して、ベイティが同作品の映画化
に関する権利を現在も所有していることの確認を求めるとい
うもの。そしてこの権利が確認されれば、ベイティは同作の
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06月01日(水)
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