ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ナニワ金融道、七人の弔、メゾン・ド・ヒミコ、輝ける青春、世界、マイ・ファーザー
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ナニワ金融道』
青木雄二原作からの漫画の映画化。主人公が街金と呼ばれる
違法ぎりぎりの金融道に入って行く過程が描かれる。
杉浦太陽扮する主人公の灰原達之は、勤めていた会社が、社
長が街金に手を出したために倒産し、大阪に流れてくる。そ
こでふと知り合った男(生瀬勝久)から街金の就職口を紹介
され、上の経緯から最初は躊躇したものの、ガールフレンド
(鈴木紗理奈)も紹介されて仮採用として働き始める。
そして、社長(津川雅彦)や先輩(杉本哲太)の仕事振りを
見ながら、一から金融道を身に付けて行く。さらに、ライヴ
ァル(豊原功補)の出現によって、一世一代の大勝負を受け
て立つことになるが…
何しろ主人公が素人からスタートする展開なので、観客にも
分かり易くいろいろな裏金融の手口が紹介される。また、そ
れに絡んで詐欺の手口なども紹介され、話には聞いたことが
あっても映像で紹介されると、結構納得できて勉強になった
感じだ。
その辺がマニュアル的に整理されていて、分かり易いのも本
作の特徴と言えそうだ。この辺は、昔の伊丹十三映画に通ず
るところもある。
脚本、監督は茅根隆史。本作が劇映画第1作の監督は、元々
がドキュメンタリーの出身だそうで、その経験から物事を分
かり易く整理するのは習い性というところもあるのかも知れ
ないが、独り善がりに陥っていないのはさすがという感じも
した。
また、人間関係をべたべたと持ち込まないのも良い感じで、
まあ、逆にその辺が完成後2年間もお倉入りしていた原因な
のかも知れないのだが、こういうクールな作品が好きな僕に
は好ましかった。
と言っても、日本の観客は泣きが入らないとなかなか見に来
てはくれない訳で、監督にはその辺を第2作までに研究して
もらいたいというところか…。ただしこの監督は、泣きで撮
らせればちゃんとやれる実力はありそうで、僕としては本編
のクールさは保ってもらいたいし、これはかなり難しい注文
になりそうかな?
『七人の弔』
タケシ軍団のタレントで構成作家でもあるダンカンの初監督
作品。元々が構成作家を目指して弟子入りした人と聞いてい
たので、とっくに監督デビューも果たしているものと思って
いたが、本作が第1作ということで、まさに満を持しての作
品のようだ。
山間地のキャンプ場に向かう7組の親子(7人の子供と9人
の親)。一見普通の親子キャンプのように見えるが、だんだ
んそれが尋常でない状況を孕んでいることが説明される。集
まっている親子は、いずれも過去に親による児童虐待が問題
になった家族なのだ。
では何故、そのような家族が親子キャンプに集まっているか
というと…監督自身が演じるキャンプ場の案内人によって、
その背景が徐々に明らかにされて行く。
大括りではこんな話だが、この案内人の悪魔の手先のような
描き方が映画全体を引き締めて、一種のファンタシーのよう
な雰囲気に仕上がっていた。
児童虐待のニュースが毎日のように報道される今日では、こ
のようなことが行われていても何ら不思議はない。そんなこ
とを思わせる作品。脚本も手掛けたダンカンの着眼点は良い
と思う。しかも、それがかなりブラックに展開して行くとこ
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06月14日(火)
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