ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459656hit]
■バットマン・ビギンズ、愛についてのキンゼイ・レポート、クレールの刺繍
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『バットマン・ビギンズ』“Batman Begins”
1997年の“Batman & Robin”から8年、ついにバットマンが
復活した。
その復活を指揮したのは、『メメント』『インソムニア』の
新鋭クリストファー・ノーラン。彼は、『ブレイド』のデイ
ヴィッド・S・ゴイヤーと共に綿密な脚本も執筆し、バット
マンの起源に迫る、全く新しい作品を作り上げた。
バットマンの起源については、幼少時代の事件のことが確か
前のシリーズでも第2作辺で紹介されたと記憶しているが。
今回はさらにそれを掘り下げ、バットモービルやバットケイ
ヴまでもの誕生秘話が語られる。
従って本作は、前シリーズとは完全に切り離された作品で、
全く新しいシリーズの開幕と言うことができる。
バットマンことブルース・ウェインは、ゴッサムシティの大
富豪ウェイン家の一人息子として成長する。ウェイン家は不
況下で犯罪のはびこるゴッサムシティの立直しに奔走し、そ
の端緒が見えた矢先に事件が起きる。
その心の痛みを負ったブルースは世界中を放浪し、自分自身
の向かう道を探究する一方、いろいろ技を身に付けてゆく。
そしてヒマラヤの奥地で巡り会ったラーズ・アル・グールが
きっかけとなり、ゴッサムシティへ戻ってくる。
しかし彼が舞い戻ったゴッサムシティは、以前にも増して悪
の巣窟と化し、もはや警察もまともには機能しない事態とな
っていた。この現状にブルースは、代々ウェイン家を守る執
事アルフレッドらの力も借りて、バットマンとなって街の浄
化に乗り出すが…
この物語に、ブルース・ウェイン=バットマン役クリスチャ
ン・ベール、アルフレッド役マイクル・ケインを初め、リー
アム・ニースン、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリ
ーマンという錚々たる顔ぶれが脇を固め。
さらにキリアン・マーフィ、トム・ウィルキンスン、ルトガ
ー・ハウアー、渡辺謙、そして紅一点ケイティ・ホームズと
いう布陣が挑む。
バットマンは、前のシリーズでは、特にそのダークなイメー
ジが注目されたが、本作もそれは踏襲している。しかしティ
ム・バートンが始めた前シリーズが、時代の要請もあって、
ある意味病的な暗さで描かれていたのに対して、今回は健康
的な暗さという印象を持つ。
これは、先にも書いたバットモービルの誕生などの説明が、
至って科学的に行われている点にもあるのだろうが、全てが
明快で、何らやましいところを感じさせないというところが
素晴らしかった。ノーラン=ゴイヤーの脚本の勝利と言える
ものだ。
ノーランもゴイヤーも以前の作品では、どちらかというと病
的な印象を持っていたが、それを吹っ切った本作は見事。こ
こには“Spider-Man”の影響も微かに感じられるが、良い方
向に活かされているのだからそれも歓迎したいところだ。
以下、ネタばれを含みます。
なお、試写会の際に1枚のプリントが配られ、劇中で描かれ
る列車の脱線シーンについての釈明が書かれていた。
確かにこのシーンの衝撃は物凄いものがあるが、当然このシ
ーンは尼崎の事件の前に製作されたものだし、ましてやこれ
が物語の中で犯罪行為として起きるものではなく、正義のた
めに行われることを考え合せれば、何らこれに文句を言われ
る筋合いのものではない。
それでもこのシーンに事件を想起する人は多いとは思うが、
[5]続きを読む
05月31日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る