ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ナチュラル・シティ、50回目のファースト・キス、バースデー・ウェディング、ジャマイカ/楽園の真実、ダンシング・ハバナ、理想の女
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『ナチュラル・シティ』(韓国映画)          
架空の原子力潜水艦による日本攻撃という大胆な内容と、見
事なアクションで話題を呼んだ1999年公開の映画『ユリョン
〜幽霊〜』のミン・ビョチョン監督が、5年の沈黙を破って
発表した近未来SF作品。               
韓国製のSF映画では、昨年『イエスタデイ』という作品が
あったのだが、残念ながら紹介を割愛せざるを得なかった。
まあ、今回宣伝部の人の話を聞いても、元資料には言及がな
かったようだから、本作が韓国SF映画の本格的な夜明けを
告げる作品と言ってよいようだ。            
舞台は2080年、アンドロイドが量産され、兵器や人の享楽に
も奉仕しているが、アンドロイドには暴走を防ぐために一定
の廃棄期限が設けられていた。しかし奉仕してくれるアンド
ロイドに恋をし、その挙げ句に廃棄期限に殉死する者も出る
事態になっていた。                  
一方、アンドロイドの中にも、自らの延命を願い違法に職務
を離脱するものがあった。主人公は、そんな離脱アンドロイ
ドの捜索を行う特別捜査班の刑事。しかし自ら愛するアンド
ロイドの廃棄期限が迫り、違法な延命処理を行うという裏社
会へ足を踏み入れる。                 
離脱アンドロイドとそれを追う刑事という図式は、『ブレー
ドランナー』のそれを思い出させる。描かれた世界はその延
長と言える。しかし本作では、それより1歩踏み込んで、ア
ンドロイドと人間の恋愛関係という新たな局面を描き出して
いる。                        
実は、アンドロイドの感情の存在が微妙に表現されていて、
アンドロイド自身が延命を望んでいるかどうかが正確には判
らないのだが、その分、人間の側の描き方がうまくて、例え
ば不治の病に陥った人間同士のような感じで納得できる仕掛
けになっている。                   
この辺が、廃棄期限に殉死するという説明と合わせて、SF
的設定を理解させ易くしようという努力のようにも思える。
自分は元来がSFファンだから、ここまでの説明は余分のよ
うにも思えたが、確かに最近のSF映画全般の説明不足傾向
の前には、この位はするべきだという必要性も考えさせられ
た。そういった意味でも、この映画の作り手の意識の高さを
感じた。                       
VFXやCGIもかなりの高水準で見事だし、韓国映画特有
の激しいアクションも決まっていて、新たな韓国映画の展望
を感じさせてくれた。                 
                           
『50回目のファースト・キス』“50 First Dates”   
アダム・サンドラー、ドリュー・バリモア共演で、交通事故
の後遺症による短期記憶喪失障害を背景としたロマンティッ
クドラマ。                      
主人公は、ハワイの水族館に勤める獣医。セイウチの生態研
究でアラスカに行くことを夢見ており、その旅に女性の同行
は無理と考える彼は、女性との付き合いに深入りを好まず、
しかし観光客専門のプレイボーイといった感じで、女性の扱
いには抜群の才能を発揮する。             
そんな彼が、アラスカに行くための船の訓練航行中に事故に
遭い、たどり着いた浜辺のカフェで1人の女性に巡り会う。
現地の人が経営する素朴なカフェで意気投合した2人は、再
会を約束して別れるのだが、翌日訪れた彼を彼女は初対面の
ように拒絶する。                   
実は、彼女は1年前に交通事故に遭い、以来1日の記憶を翌

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05月30日(月)
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