ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459637hit]
■第87回(後)
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《昨日の続き》
『キングダム・オブ・ヘブン』では12世紀の十字軍の姿を
描いた脚本家のウィリアム・モナハンが、続けて13世紀の冒
険家の生涯を描く計画が発表された。その冒険家の名前は、
マルコ・ポーロ。ヨーロッパ人の東洋観を変えたとまで言わ
れる彼が口述した『東方見聞録』に基づいて、24年間に及ぶ
ポーロの冒険を、マット・デイモン主演で描く計画だ。
この計画は、元々は『オーシャンズ12』の脚本を手掛けた
ジョージ・ノルフィとマイクル・ハケットのコンビが思い付
いたもので、彼らが優先契約を結んでいるワーナーにアイデ
アが提出された。それと同時に、モナハンとデイモンにも計
画が提示され、彼らがそれに乗ってきたということで、監督
は未定だが、計画は順調に進んでいるようだ。
因にマルコ・ポーロは、1254年の生まれで、1270年に当時
の中国・元を再訪する宝石商の父親と叔父に伴われて生地の
ヴェネチアを出発。74年にはクビライ・カンに謁して任官、
以後中国各地を見聞した後、95年に海路インド洋、黒海を経
て帰国。しかしジェノヴァとの海戦に敗れ、その獄中で『東
方見聞録』を口述したということだ。
この『東方見聞録』には、日本が「黄金の国ジパング」と
紹介されているということで、歴史教科書にも載せられてい
るが、その他にも、ポーロが見聞した当時の中国や蒙古の卓
越した科学技術などが紹介され、東の蛮国と思っていた東洋
に対するヨーロッパ人の考えを大幅に変えたというものだ。
なおこの書物の題名は、今回の報道では単に“Travels”と
紹介されており、欧米ではそういう名称で知られているよう
だ。
そしてその映画化が、モナハンの脚本で進められる計画だ
が、元々モナハンは、アメリカ軍人のウィリアム・イートン
がアフリカに渡って、現在のリビアの基礎を築いた王の許で
軍を指揮したという史実に基づく“Tripoli”と題された作
品をリドリー・スコットの監督で進めていたものの、この計
画が製作費の膨張などで実現困難となり、代ってスコットか
ら十字軍の物語を依頼されたということで、元々はこういう
異国での冒険が描きたかったようだ。今回はその思いをぶつ
けてほしい。
なおモナハンは、現在はリドリー・スコット監督で、映画
製作者のスコット・ルーディンがパラマウントからディズニ
ーに移籍後の最初の作品となる、コーマック・マッカーシー
原作による“Blood Meridian”を脚色中で、今回の計画はそ
の後になるようだ。
一方、マット・デイモンは、すでに2003年3月1日第34回
で紹介の“The Brothers Grimm”と、2004年6月15日第65回
で紹介の“Syriana”の撮影が完了し、この後には『インフ
ァナル・アフェア』のアメリカ版リメイク“The Departed”
に出演の他、2002年12月15日の第29回に紹介したロバート・
デ=ニーロ監督の“The Good Shepherd”への出演(主演が
交替になった)も予定されている。また彼自身は、ジェイソ
ン・ボーンシリーズの第3作“The Bourne Ultimatum”への
出演も希望しているということで、このラッシュの中で今回
の作品は一体何時実現するのだろうか。
* *
続けてワーナーの話題を後2本で、まずは『アバウト・ア
・ボーイ』などの原作者ニック・ホーンビイの新作“A Long
Way Down”の映画化権を獲得したことが発表された。
この映画化は、グラハム・キングとデイヴィッド・ヘイマ
ン、それに“Charlie and the Chocolate Factory”の全米
公開が迫っているジョニー・デップの製作で計画されている
もので、現時点でデップの映画化への関わりは製作に限定さ
れているそうだが、今後、脚本の出来次第で出演もあるかも
[5]続きを読む
05月16日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る