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On the Production
by 井口健二
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■ライフ・イズ・ミラクル、ワイルド・タウン、HINOKIO、樹の海、マラソン
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ライフ・イズ・ミラクル』“Život je čudo”
旧ユーゴ(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)サラエボ出身で、
1993年には、アメリカで『アリゾナ・ドリーム』という作品
を撮っているエミール・クストリッツァ監督が、フランスと
セルビア=モンテネグロの合作で製作し、昨年のカンヌ映画
祭に出品された作品。
1992年のユーゴ内戦が始まったころの物語。主人公は鉄道技
師でボスニアとセルビアの国境付近の山間の町で、新設され
る鉄道工事に従事している。しかし元オペラ歌手の妻と、プ
ロサッカー選手を目指す息子は、こんな田舎に住むことに不
満を持っている。
そんなある日、地元の試合で活躍した息子は名門チームの監
督の目に留るが、名門チームからの招請の手紙の前に届いた
のは、兵役への召集令状だった。そして、その壮行会の日に
内戦は勃発し、同時に妻は壮行会で出会った男と駆け落ちし
てしまう。
こうして、国境の町の鉄道を一人で守ることになった主人公
には、戦争の裏でうごめく連中との問題など、次々にいろい
ろな災難が降りかかる。そして戦況はどんどん激化し、彼の
住む家にも砲弾が降ってくることになるが…というお話。
ただし物語は、全体的にはユーモラスに描かれており、戦争
は異なるが、ロベルト・ベニーニの『ライフ・イズ・ビュー
ティフル』を思わせる。因に、本作の英題名は“Life Is a
Miracle”で、その辺も意識している作品だろう。
と言っても、いろいろ工夫して家族を守り続けるイタリア映
画に対して、本作の主人公はいたって成り行き次第で、それ
が巧く行ってしまう辺りは、映画の中に絶対的な敵を置けな
い難しさも感じられた。
なお映画は、戦争を背景にはしているが、現実的な戦闘シー
ンはほとんど無く、ただ砲弾が落ちてくる下を人々が逃げ惑
うようなシーンを描くことで、非人間的な戦争の姿を強調し
ているようにも見えた。
『ワイルド・タウン』“Walking Tall”
1973年にジョー・ドン・べーカーの主演で映画化され、その
後ボー・スヴェンソンに主役を変えて75年、77年に続編2作
が作られた話題作の再映画化。主人公をザ・ロックこと、ド
ウェイン・ジョンスンが演じる。
主人公は特殊部隊での兵役を終えて8年ぶりに故郷に戻って
くる。そこは、以前は製材業で賑わった町だったが、製材場
は閉鎖され、替ってカジノが町を支える産業となっていた。
そして町にはポルノショップが建ち、若者にはドラッグが蔓
延していた。
その現実を目の当りにした主人公は、正義感に燃えて、町の
浄化のために立ち上がるが…
実はオリジナルは見た記憶が無い。1973年のMGM映画なら
見ていてもいいはずなのだが、何故なのだろう。それはとも
かく、オリジナルの主人公は元プロレスラーという設定だっ
たようだが、ザ・ロックが演じるのにわざわざ設定を変える
というのも面白いところだ。
ただ、オリジナルは実話に基づいて、それなりに主人公にも
痛みが伴うものだったようだが、リメイク版はいたって快調
に勧善懲悪を貫くもので、まあエンターテインメントとして
はこれでも良いが、オリジナルを見た人にはちょっと引っ掛
かるかも知れない。幸い僕はそういう立場ではないが。
その点を除けば、マット上での活躍さながらに、悪人をバッ
タバッタと倒して行くのだから、ザ・ロックのファンにはこ
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04月30日(土)
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