ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■スカーレット・レター、ライフ・アクアティック、サハラ、魁!!クロマティ高校、やさしくキスをして、ピンクリボン
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『スカーレット・レター』(韓国映画)         
この作品が遺作となった主演女優のイ・ウンジュさんに哀悼
の意を表します。正直に言って、このような書き方で映画を
紹介したくはないが、この作品の場合は時期的に書かずに済
ます訳にも行かないだろう。              
個人的には、彼女の最近の作品は見ていなかったが、デビュ
ー作の『虹鱒』と主演第1作の『オー!スジョン』は製作当
時に見て、特に映画祭で上映された『オー!スジョン』の大
胆な演技には驚かされた記憶がある。          
改めて冥福を祈りたい。                
さて映画では、残虐な殺人事件を背景の物語として、事件を
追う刑事と、その妻、そして刑事の愛人による痴情に縺れた
男女の関係を描いている。               
題名はナサニエル・ホーソーンの古典作品と同じだが、直接
その物語が描かれる訳ではない。しかし古典作品と同じよう
に、男女の深い関係が克明かつ執拗に描き出され、その意味
ではこの題名を用いたこともうなずけるという作品だ。  
写真店の店主が惨殺される。遺体発見者はその妻、彼女は買
い物に行っていたとアリバイを主張するが、その言動には怪
しいところが散見される。しかし犯行は立証されず、やがて
彼女の周辺には、いろいろ怪しげな人物が登場する。   
その事件を担当する刑事にはチェリストの妻がいる。その一
方でジャズピアニストの愛人と蓬瀬を重ねている。やがて刑
事の妻の妊娠が判明し、その直後に愛人からも妊娠を告げら
れる。そして縺れた男女の関係は、刑事の人生を破滅へと導
いて行く。                      
自殺したイ・ウンジュは刑事の愛人の役を演じているが、確
かに極限状態を描いたこの物語では、精神的なダメージはか
なり大きかったことは予想される。しかし、それだけで自殺
に追い込まれるとは…でも、そんな詮索はしても仕方のない
ことだ。                       
映画は、かなり陰惨な殺人事件を描き、また男女の深い関係
を描いているが、全体として下品な描き方ではない。むしろ
正統的な映像の美しさも感じられるものだ。確かに殺人事件
に絡んでは血糊の量も多い作品だが、この程度は納得できる
範囲だ。                       
その意味では、韓国での公開時の評価も高かったようだし、
普通に見られれば充分に評価できる作品だと思う。ただ、ど
うしても普通には評価できないところが残念だ。     
それから、映画の後半で主人公が陥る極限状態は、僕なら脱
出方法を知っているものだ。その方法を刑事の主人公が知ら
ないとは思えないし、それに携帯電話が近くにあれば、仮に
それに出ることはできなくても、その居場所は判るはずなの
だが…                        
普通に評価できないおかげで、ちょっと要らぬことを考えて
しまった。                      
                           
『ライフ・アクアティック』              
        “The Life Aquatic with Steve Zissou”
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のウェス・アンダースン
監督作品。                      
映画のエンドクレジットでは、故ジャック・イヴ・クストー
に献辞が掲げられていたが、クストーを髣髴とさせる海洋ド
キュメンタリー映画作家を主人公に、落ち目のドキュメンタ
リー作家が起死回生の作品を狙うすったもんだが描かれる。
正直に言って、同じ監督の上記の前作は面白さが良く判らな

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04月29日(金)
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