ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■迷宮の女、バタフライ・エフェクト、英語完全征服、ダニー・ザ・ドッグ、ラヴェンダーの咲く庭で、コックリさん
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『迷宮の女』“Dedales”                
最近、時々紹介される多重人格を扱ったフランス製のサスペ
ンス映画。                      
フランス映画では、フィルムノアールと世界的に呼ばれた時
代から、犯罪捜査ものの伝統があるが、本作はその伝統にも
沿って、心理サスペンスが見事に展開している。     
事件は確認されるが死体のない連続殺人事件が発生。そこに
は防犯カメラの映像や目撃者の証言なども数多く残されてい
るが、犯人像が特定できない。そこで、優秀だが他の捜査官
の顰蹙を買うプロファイリング専門の捜査官が呼ばれる。そ
して彼の直感的な捜査で犯人が逮捕される。       
その半年後、多重人格の傾向のある犯人の治療のため、専門
の精神科医が精神病院に呼ばれる。彼はその犯人の中に4つ
の人格を見いだし、その内のミノタウロスと名告る凶暴な人
格に事件の鍵があることを突き止めるが…        
映画は、この2つのストーリーが時系列を入れ篭にして構成
されているが、その構成自体は、VFXなども使って判りや
すく整理されて違和感もなく、なかなか見事な作品だった。
そしてギリシャ神話をモティーフにした謎解きも良くできて
いた感じだ。
多重人格ものというと、最近では『“アイデンティティー"』
が、その展開や映像化の手法でも傑出していたが、それとは
比べられないものの、本作も見事な作品になっている。特に
犯人役を演じたシルヴィー・テスチュの演技は見事だった。
ただ結末が、映像的にちょっとアンフェアな感じがした。し
かしこの手の作品には、2度見て確認する作業が要求される
もので、僕はまだ1度しか見ていないので結論は控えたい。
                           
『バタフライ・エフェクト』“The Butterfly Effect”  
昨年の今頃に全米で公開されて、興行1位を記録したサスペ
ンス作品。                      
この手の作品はどうしてもネタばれになるので、以下は気を
付けて読んでください。                
主人公には子供の頃に3人の遊び仲間がいた。初恋の少女と
その兄、そしてちょっと太めの少年。また、その頃の主人公
は、時々一時的に記憶を喪失することがあり、その治療の目
的で日記を付けることが習慣になっていた。       
しかし、子供の頃の彼の周辺には忌まわしい出来事が多く発
生し、そのため彼と母親は町を離れなくてはならなくなる。
その日、見送りに来た少女に「必ず迎えに来る」という言葉
を残し、主人公は町を離れる。             
その後、主人公には記憶喪失が起きることもなく、成長して
州立大学で心理学を学ぶ学生となっている。そして少女との
約束も忘れられ、楽しい学園生活を送っていたのだが、ふと
日記を読み返したとき、彼は喪失したはずの記憶がそこに書
かれていることに気づく。               
そして彼の周囲に変化が生じ始める。          
簡単に言ってしまえば、ジャック・フィニーの『ふりだしに
戻る』なのだけれど、この映画の脚本、監督を手掛けたエリ
ック・ブレスとJ・マッキー・グラバーは、実に緻密に、そ
して大胆にこの物語を構築している。          
彼らが先に脚本を手掛けた『デッド・コースター』は、正直
に言って僕が買わない作品の一つだが、その頃すでにこの作
品は進行していたと言うことで、片手間の仕事と本腰の仕事
の違いは歴然のようだ。                
まあ、本当は片手間でも良い仕事をしてほしいとは思うとこ
ろだが、それでも、そのおかげで本作が実現したのだから、

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03月14日(月)
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