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On the Production
by 井口健二
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■第82回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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今回は、日本時間2月28日に発表された第77回アカデミー
賞について書こうと思っているが、まずはその前に、前々回
アカデミー賞候補と一緒に紹介したVisual Effects Sociaty
(VES)賞の結果から報告しておくことにしよう。なお、
この賞の受賞式は2月16日に行われた。
前々回候補を紹介した映画関係の10部門の中で、まず実写
映画での環境創造賞は“Spider-Man 2”でのニューヨークの
夜景、VFXに使用された特殊効果賞は“The Aviator”、
ミニチュア及び模型賞も“The Aviator”のFX11の墜落シー
ンが受賞している。さらに合成賞は“Spider-Man 2”の列車
シーンが受賞した。
一方、実写映画でのアニメーションキャラクターの演技賞
には“Harry Potter and the Prisoner of Azkaban”のヒポ
グリフ、アニメーション映画でのキャラクターの演技賞には
“The Incredibles”のボブ・パー(Mr.インクレディブル)
が選ばれた。また、VFX映画における俳優の演技賞には、
“Spider-Man 2”におけるアルフレッド・モリナが選ばれて
いる。
さらに、単独のVFX賞は“The Day After Tomorrow”の
津波シーンに贈られ、VFX中心でない映画でのサポートV
FX賞は“The Aviator”が受賞。そして、本賞とも言える
VFX中心の映画におけるVFX賞には“Harry Potter and
the Prisoner of Azkaban”が選ばれた。
つまり作品別では、“The Aviator”と“Spider-Man 2”
が3部門ずつ、“Harry Potter”は2部門だがVFX中心の
映画におけるVFX賞を受賞したということで、この3作が
2004年のVFXを代表する作品ということになったようだ。
それにしても、具体的に対象となったシーンも含めて受賞
作を見渡すと、成程どれも納得できるものばかりで、さすが
に専門家たちが選んだ賞と言うことが出来そうだ。来年もこ
の賞には注目したい。
* *
ということで、続いてはアカデミー賞の講評だが、僕が一
番気になったVisual Effects部門には、ソニー・イメージワ
ークスが担当した“Spider-Man 2”が輝いた。この受賞は、
上記のVES賞とは異なる結果になったものだが、以前リチ
ャード・エドランドにインタヴューしたときに、「オスカー
は専門家でない人たちが選ぶから、見た目派手なものが受賞
しやすい」と言っていたのを思い出して納得した。
もう一部門、Makeup賞は、“Lemony Snicket's A Series
of Unfortunate Events”が獲得。この作品については昨日
付の映画紹介で掲載しているが、確かにジム・キャリーの変
化ぶりは面白かったし、3候補の内の1本は見ていないが、
まあ順当な線と言えそうだ。
で、その他では、やはり“The Aviator”が5部門の最多
受賞は果たしたものの、主要な賞ではケイト・ブランシェッ
トの助演女優賞しか得られなかったことが気になる訳だが、
正直に言ってアカデミー賞のVFX部門では無視されたもの
の、VES賞では最多受賞するような作品は、なかなかオス
カーでの主要賞の受賞は難しいということだ。
それにこの手の作品では、昨年“Return of the King”に
大量の賞を出したところでもあり、2年連続その手の作品と
いうのは考え難い。結局オスカー獲得には、そういう時期の
問題も大きく影響するということだ。これはもう、エドラン
ドも言っていたように、専門家や評論家が選んでいるのでは
ないのだから、仕方のないことと言わざるを得ない。
また、昨年の“Return of the King”はニューライン製作
配給で、いわゆるメイジャー作品ではなかったものだが、今
年は主要賞のほとんどをメイジャーが獲得しているのは、各
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03月01日(火)
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