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On the Production
by 井口健二
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■第80回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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まずは、1月25日に発表されたアカデミー賞候補の中から
気になる部門の候補作を中心に紹介しておこう。
最初は前回予備候補を紹介した視覚効果部門だが、これは
ちょっと予想が外れて、“Harry Potter and the Prisoner
of Azkaban”“I, Robot”“Spider-Man 2”という3本の候
補になった。
この内、僕が一番予想しなかったのは“I, Robot”だが、
実は、この2週間前の1月10日に発表されたVFX専門家集
団Visual Effects Sociatyによる賞の候補選出でも、この作
品はほとんど無視されていたもので、恐らくはアメリカでも
予想外と受け取られたはずだ。ただしこれによってILM、
ディジタル・ドメイン、ソニーの3社揃い踏みになった訳だ
から、それなりの思惑が働いてのことかも知れない。とは言
え、ここで“The Aviator”が候補になれば、候補数12部門
で『王の帰還』を抜く可能性も生まれたものだが、その芽は
最初から摘み取られてしまった訳だ。
もう一つ気になるメイクアップ賞は、“Lemony Snicket's
A Series of Unfortunate Events”“The Passion of the
Christ”、それに外国語映画賞の候補でもあるスペイン映画
の“The Sea Inside”。実は、ここでも“The Aviator”は
予備候補に挙げられていたが、最終候補にはなれなかったも
ので、最多受賞の敷居はかなり高い感じだ。
一方、結局予備候補の発表のなかった長編アニメーション
部門の候補は、大方の予想通り“The Incredibles”“Shark
Tale”“Shrek 2”の3本で決まり、今年もディズニー=ピ
クサーvsドリームワークスの対決となった。
なお、“Harry Potter”は他に作曲賞。“Spider-Man 2”
はサウンドエディティングとサウンドミキシング。“Lemony
Snicket”は作曲、アートディレクション、それにコスチュ
ームデザイン。“The Incredibles”は脚本、サウンドエデ
ィティングとサウンドミキシング。“Shrek 2”はオリジナ
ルソングの候補にもなっている。
この他のSF/ファンタシー関連の作品では、“Finding
Neverland”が、作品、主演男優(ジョニー・デップ)、脚
色、編集、作曲、アートディレクション、コスチュームデザ
イン。“Eternal Sunshine of the Spotless Mind”が、主
演女優(ケイト・ウィンスレット)、脚本。“The Phantom
of the Opera”が、撮影、オリジナルソング、アートディレ
クション。“The Village”が作曲。そして長編アニメーシ
ョン部門を逃した“The Polar Express”が、オリジナルソ
ング、サウンドエディティング、サウンドミキシングのそれ
ぞれ候補に挙げられている。
因に、作曲賞部門は、全5候補の内の4作品を上記のよう
にSF/ファンタシー関連の作品(後1作は“The Passion
of the Christ”)が占め、オリジナルソング部門も3候補
(後の2作は“The Motorcycle Diaries”とフランス映画の
“Les Choristes”)を占めており、SF/ファンタシー系
の作品が依然として注目されていることは、こういった辺り
にも現れていると言えそうだ。
以上が今年の気になった候補作だが、2月27日にはこの中
から一体どの作品が栄冠を勝ち取るのだろうか。
* *
ついでに、上記したVisual Effects Sociatyによる賞の候
補作も紹介しておこう。因にこの賞は、今年で第3回を迎え
ているもので、映画だけでなくテレビやゲームに対する賞も
設けられているようだが、ここでは映画関連の10部門の候補
だけ報告する。
まずはVFX中心映画におけるVFX賞で、この候補には
“The Day After Tomorrow”“Harry Potter”“Spider-Man
2”が挙げられた。これに対して、VFX中心でない映画で
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02月01日(火)
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