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On the Production
by 井口健二
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■最後の晩餐、クライシス・オブ・アメリカ、レーシング・ストライプス、フレンチなしあわせのみつけ方
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『最後の晩餐』
大石圭原作の『湘南人肉医』(角川ホラー文庫)を、『渋谷
怪談』などの福谷修の脚色、監督で映画化した作品。といっ
ても、僕は原作も読んでいないし、監督の前作も見ていない
のだが、本作に限って言えば、想いの他、真面目に作られた
佳作とも言える作品だった。
内容は、原作の題名の通りカニバリズムをテーマにしたホラ
ー。カニバリズムも、『ハンニバル』のお陰で一般的な用語
になってしまったが、本作では主人公がカニバリズムに走る
過程が、それなりに丁寧に描かれていて面白く見られた。
特に、原作にはないという香港のシーンは、物語の展開上も
良いキーポイントになっているし、映像にも雰囲気があって
上々の仕上がりという感じだ。なおここでは、これ以上の物
語はあえて紹介しないが、脚本は破綻を生じることもなく、
うまくまとめられていた。
また本作では、主演が加藤雅也に匠ひびきというかなり雰囲
気のある顔合せで、他にも、三輪ひとみ、原史奈、前田綾花
といった和製ホラーの常連が脇を固め、さらにキャスト表に
は特別出演とあるから海岸のシーンだけのちょい役かと思っ
た松方弘樹は、後半かなり重要な役を演じているなど、キャ
スティングもよく頑張ったものだ。
ただし作品は、特に映像がスタイリッシュというか、ホラー
の割りにはオドロオドロしさが薄い。恐らく監督は、本作で
はスタイリッシュに描くのが意図だったと思えるし、元々が
超常現象が出てくるようなお話ではないから、それはそれで
良いのだが…
ホラーと銘打つ以上は何か一発、仕掛けが欲しかった感じは
持つ。例えば『スクリーム』のドリュー・バリモアのシーン
ように、プロローグの三輪のシーンだけでも、もっとホラー
っぽくする、そんなサーヴィスがあっても良かったのではな
いかという感じだ。
和製ホラーは、そのショック表現の巧みさでハリウッドリメ
イクされるなどの評価を得ているが、本作はそれとは一線を
画した作品で、その点での評価はしたい。ただし、テーマは
カニバリズムで、それなりの表現はありますので、観るとき
はご注意ください。
公開は、東京は2月12日から渋谷のアップリンクXで行われ
るが、このキャスティングでこの出来なら、僕はもっと大き
な映画館でも行けるのではないかと感じたものだ。
『クライシス・オブ・アメリカ』
“The Manchurian Candidate”
1962年にジョン・フランケンハイマー監督、フランク・シナ
トラ主演で映画化(邦題・影なき狙撃者)されたロバート・
コンドン原作の再映画化。シナトラは生前、本作の再映画化
を希望していたそうで、今回の映画化には娘ティナが製作者
に名を連ねている。
湾岸戦争で生じた英雄的行為。偵察部隊が敵の奇襲に合い、
指揮官の大尉が意識不明、隊は全滅しかかるが、その時一人
の軍曹が反撃を開始、敵を殱滅して、部隊を安全な場所まで
誘導したという。
その軍曹は、帰国後は英雄となり、受賞者1000人に満たない
という名誉勲章を受け、血筋もあって政界に進出、ついには
若くして副大統領の座を狙うまでになる。しかし名誉勲章の
推薦状にもサインした大尉は、伝えられる戦闘よりもリアル
な悪夢に悩まされていた。
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01月31日(月)
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