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On the Production
by 井口健二
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■第76回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 まずはこの話題から、アメリカでは2005年12月、日本では
06年3月に公開が予定されているC・S・ルイス原作『ナル
ニア国ものがたり』(The Chromicles of Narnia)の映画化
について、ディズニー映画の配給会社ブエナ・ヴィスタと、
原作本の発行元の岩波書店による共同記者発表が11月30日に
行われた。通常映画の記者会見というのは、公開間際に宣伝
で行うもので、製作国でもない場所でこのように早くから記
者発表が行われるのは異例のようにも思えるが、実はディズ
ニーの宣伝活動は、公開の2年前から始められるのが通例な
のだそうで、今回はその意味では遅れ気味とのこと、多少焦
りも感じられる記者発表だったようだ。
 といっても、この記者発表の出席者はいずれも日本の会社
の代表者で、映画化を行っている本人ではない。従って突っ
込んだ話は聞けなかったが、僕がした質問で、2作目以降の
映画化のスケジュールについては一応の回答が得られた。そ
れによると、第2作の脚色はすでに作業に入ってはいるが、
その製作は第1作の様子を見ながらになるとのこと。少なく
とも第2作までは作られるが、第3作を作るかどうかは第1
作のヒットの具合によるということだった。
 つまり今回の映画化では、全7巻の原作を7本の映画にす
る計画ではないようで、2作目以降はまとめた形での映画化
が予定されているようだ。実は、僕は原作の第1巻は学生時
代に原書で読んだものだが、それ以降の巻はまだちゃんとは
読んでいない。従って正確なことは言えないが、このシリー
ズでは、第1巻をプロローグとして、第2巻以降ではナルニ
ア国の成立から最後までが描かれているということだ。だと
すると、第1巻は単独で映画化して、それ以降はまとめて何
本かに再構成するというのは、無茶な計画ではない。
 それに、この映画化がヒットしないとはまず思えないもの
で、少なくとも2〜3部作、うまくすれば4部作になる可能
性もありそうな雰囲気だった。なお、第1作の“The Lion,
the Witch and the Wardrobe”(ライオンと魔女)の撮影は
現在ニュージーランドで進行中で、本編の撮影は年内に完了
の予定。その後に“Lord of the Rings”を手掛けたWetaの
スタッフによる視覚効果などのポストプロダクションが行わ
れ、初号完成は来年8月頃になるだろうということだった。
 なお、この記者発表は、ワーナー配給の『僕の彼女を紹介
します』の出演者・監督の来日記者会見とぶつかっており、
僕もどちらに行こうか迷ったものだが、恐らくは女優も来て
いるワーナーの方が混むだろうと考えてこちらに来ていた。
しかしこちらの会場も立ち見が出るほどの盛況ぶりで、本作
への関心の高さが伺えたものだ。
        *         *
 以下はいつもの製作ニュースで、最初はこの話題から。
 『マトリックス』の完結から1年、ウォシャウスキー兄弟
の再始動が発表された。
 今回発表された計画は、ワーナーが製作を進める“V for
Vendetta”という作品で、1980年代のDCコミックスに期間
限定で発表されたアラン・モーア原作のグラフィック・ノヴ
ェルを映画化するもの。内容は、ドイツが第2次大戦に勝利
した後のイギリスを舞台に、全体主義に走る体制に反抗する
仮面を付けた謎の怪人を主人公とした物語ということだ。
 この計画、実は数年前から兄弟が脚色を依頼されていたも
のだが、彼らが『マトリックス』を提案したために中断して
いた作品とも言われている。また今回の計画で、兄弟は監督
にはタッチせず、監督は、『マトリックス』シリーズの第1
助監督を務め、“Star Wars: Episode III”でも第1助監督

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12月01日(水)
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