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On the Production
by 井口健二
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■第17回東京国際映画祭(コンペティション+アジアの風)
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※このページでは、東京国際映画祭のコンペティション、※
※およびアジアの風部門で上映された作品から紹介ます。※
※なお紹介するのはコンペティション部門全作品15本と、※
※アジアの風部門の中で見ることのできた7本です。 ※
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<コンペティション部門>
『風のファイター(韓国公開バージョン)』
極真空手の大山倍達(韓国名:チェ・ペダル)が、日本一の
空手武道家になるまでを描いた韓国の人気コミックスの映画
化。
元々朝鮮半島の出身だったペダルは、戦前の日本に密航して
航空学校に入学、しかし特攻は拒否して終戦を迎える。そし
て池袋で浮浪児のような生活を始めるが、そこで朝鮮で彼の
家の使用人だった達人と再会し、強くなりたいと思うように
なる。
やがて芸者の陽子とつきあうようになったペダルは、米兵か
ら婦女子を守る正義の味方として活躍するようになるが…。
日本でも評判になった『リベラ・メ』のヤン・ユノ監督の作
品で、韓国ではこの夏大ヒットしたということだ。今回の上
映ではタイトルに但し書きついたが、韓国俳優が喋る日本語
のせりふにはかなり辛いものがあった。
しかし、メインの相手役の陽子は平山あや、敵役の加藤は加
藤雅也が演じるなど、その辺りがちゃんとしているのは良か
った。
この他にも、再現された日本シーンにはかなり誤解や間違い
も目立つが、この辺は日本人の観客でも最早気が付かないよ
うな部類に属しそうだ。あえてその部分を取り上げて、文句
を言い出す連中は出てきそうだが、この辺は鷹揚に楽しみた
い。
姫路城などの現地ロケも上手く取り込まれているし、娯楽作
品としては良い感じだった。特にスタントなしで演じられた
空手のシーンは、専門家が見るとどうかは判らないが、それ
なりに様になっていて気持ちが良かった。
『るにん』
俳優の奥田瑛二が監督した第2作。
松坂慶子の主演で、江戸時代(天保6年)の流刑地八丈島を
舞台した愛憎物語。
松坂が演じる女は、元々が廓の出身で流刑地でも娼婦の仕事
で生活を続けている。そして役人にも取り入って赦免状を待
っているが、何時まで待っても届きはしない。そんな彼女は
潮の音を聞き分け、何かが変りそうだと感じている。
そんな八丈島に新たな流人が到着する。その中にはやはり廓
出身の若い女や、何やら仕掛けそうな若い男の姿もあった。
女は黄八丈の機屋に行き生活を立て直そうとする。男は島を
巡って、いろいろと調べ始める。そして彼らによって島には
変化が訪れるが…。
絶海の孤島の流刑地という設定では、『パピヨン』を思い出
さざるを得ないが、本作は、そこからは着かず離れず上手く
展開されている。女性を主人公としているので変化は付け易
かったかも知れないが、オリジナル脚本にしては骨太の良い
作品だった。
幕府の禁制品が流人の手元にあったり、かなり強引な展開も
あるが、それはフィクションとして認める範囲だろう。芸術
貢献賞は別の作品に行ってしまったが、同じ日本映画なら、
僕はこの作品の方が芸術には貢献していると感じたものだ。
『インストール』
芥川賞を史上最年少で受賞した綿矢りさ原作による映画化。
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11月06日(土)
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