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On the Production
by 井口健二
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■第17回東京国際映画祭(コンペティション)
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※このページでは、東京国際映画祭のコンペティション、※
※およびアジアの風部門で上映された作品から紹介ます。※
※なお紹介するのはコンペティション部門全作品15本と、※
※アジアの風部門の中で見ることのできた7本です。 ※
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<コンペティション部門>
『ココシリ:マウンテンパトロール』
コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した作品。
ココシリとはチベットの地名で、中国語では「可可西里」と
書くらしい。映画の中の説明だと、チベット語では「美しい
山」、モンゴル語では「美しい娘」の意味だと言う。映画は
この地域で1996年から97年に掛けて起きた実話に基づくもの
だそうだ。
この地域でのチベットカモシカの個体数が、毛皮を狙った密
猟で激減し、それを守ろうとした人たちが民間で山岳パトロ
ールを組織して密猟団のボスを追跡する。その行動が同行し
た新聞記者によって報道され、最終的には政府を動かしたと
いう物語だ。
物語は、パトロール隊員の一人が密猟団に殺され、それを記
事にしようとした新聞記者がココシリを訪れるところから始
まる。ちょうどその時、密猟団の動きが察知され、記者も同
行してそれを追跡することになるのだが…
彼らは民間組織ゆえに資金もなく、人材も乏しいままで、荒
野を追跡して行く。これに対して密猟団は、当然資金も豊か
で人材や武器も揃っている。しかもそこには、過酷な自然条
件や高山病、さらに流砂などの危険が待ち構えているのだ。
以前に紹介した『運命を分けたザイル』も今回の特別招待作
品として上映されているが、それにも増して過酷なサヴァイ
ヴァルが繰り広げられる。
それにしても、ここまでしてカモシカを守ろうとした彼らの
原動力は何だったのか…。それが映画の中にもほのめかされ
ているように、決してきれいごとだけではなかったという辺
りも、映画の真実味を増しているように感じた。
『ニワトリはハダシだ』
コンペティション部門で最優秀芸術貢献賞を受賞した作品。
舞鶴を舞台に、検察トップの汚職事件を暴く証拠を巡って、
知的障害児とその家族、若造の刑事、擁護学級の女教師、そ
れに指定暴力団の組長らが繰り広げるどたばたコメディ。こ
れに、戦後の引揚げ船の沈没で祖国に帰れなかった朝鮮人の
話などが絡む。
『男はつらいよ』第1作の共同脚本や、第3作では監督も務
めた森崎東の監督作品。
それにしても面白くない作品だった。主人公たちの行動の意
味も判らないし、最終的にこれで何が解決したのかも判らな
い。多分脚本家の頭の中では決着しているのだろうが、それ
がちゃんと説明されていない感じだ。障害児をこのように描
くことにも疑問に感じた。
東京国際映画祭のコンペティションは、以前は監督3作目ま
での作品という規定があったが、昨年からその規定は外され
ている。とは言うものの、功なり名を遂げた人が応募すると
いうのはいかがなものか。増してや審査委員長がこの人の時
にという感じがした。
会場で配られた各紙の記者による星取表では、最低に近い評
価だったが、僕もその評価には異論がない。この作品のどこ
が芸術に貢献したのかも判らない。
『サマーソルト』
オーストラリアで短編作品やテレビドラマでの実績を持つ女
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11月05日(金)
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