ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■血と骨、パニッシャー、クリスマス・クリスマス、ナイトメア・ビフォア・クリスマス、巴里の恋愛協奏曲、ターンレフト・ターンライト
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『血と骨』                      
梁石日の原作を、崔洋一の脚本監督で映画化した作品。同じ
コンビでは、1993年の『月はどっちに出ている』が作られて
いる。                        
梁石日の原作の映画化では以前に『夜を賭けて』を見ている
が、崔洋一監督の作品を見るのは今回が初めて。いずれにし
ても在日の韓国朝鮮の人たちの姿を描いたものなので、基本
的には日本人の自分とは別世界の話になるが、今回は、戦後
の混乱期などが背景になっているので、日本人の自分の目に
も判りやすかった。                  
戦前に済州島から出稼ぎにやってきた男の一代記を、その息
子の目から描いている。原作者の父親がモデルということだ
が、傍若無人、暴力に明け暮れる男の生き様が描かれる。そ
の一方で、男は金に執着し、家族や親戚を搾取しながら小金
を貯め込んで行く。また、数多くの女を愛し、それがまた幾
多の確執を生んで行く。                
まあ、確かにひどい男の物語だが、その当時に生きた人たち
のヴァイタリティのようなものは見事に描かれている。自分
の父親も多分同世代だと思うが、特に戦後の混乱期に、目端
を利かせて小金を稼いで行く様子は、ある部分では似ている
感じがした。                     
楽天やライヴドアの社長のように何100億を稼いだ訳ではな
いが、この映画の主人公のように小金を稼いだ奴は、当時は
ざらにあった話かも知れない。小さいけれどそれでも満足で
きる夢を、数多くの人が実現できた時代の物語という感じが
した。こんな夢を、今の時代の大多数の人たちが失っている
ことは間違いない。                  
なお、主人公の韓国人妻を演じた鈴木京香の老けのメイクや
演技が結構様になっていた。              
                           
『パニッシャー』“The Punisher”           
マーヴェルコミックス原作の映画化。          
犯罪組織によって家族を奪われた元FBI捜査官の男が、法
の手が及ばない組織のトップを追いつめて行く。しかしこれ
は復讐ではない、自らの正義に基づく制裁(punish)だ。 
言うなれば、アメリカ版「必殺仕事人」というところだが、
コミックスでの最初の登場は1974年ということなので、どち
らが先なのだろうか。                 
今回の映画化はその発端で、元捜査官がパニッシャーとなっ
て、最初の仕事を仕上げるまでが描かれる。まあ、誰が見た
ってこの最初の仕事は復讐以外の何物でもないと思うが…。
それは別として、ヒーローコミックスの映画化といっても、
本作は基本的に生身の人間の話だから、銃撃戦などはあるけ
れど、ど派手なCGIアクションなどは事実上描けない。そ
の替わりに主人公の人間性が描かれるかというと、それも無
表情であまり無いのだが…。              
本作では、主人公が隠れ住むアパートの住人たちがそれなり
に丁寧に描かれていて良い感じだった。実は、彼ら自身が世
間からは見捨てられたような存在なのだが、その彼らが主人
公に寄せる友情というか、家族愛のようなものの感じが、清
涼剤的に利いていた。中でも、『X−メン』や『ファム・フ
ァタール』などのレベッカ・ローミン=ステイモスが、儲け
役で良い感じだった。                 
主演は、パニッシャーに、『ドリームキャッチャー』などの
トム・ジェーンと、最初の仕事の相手となる組織トップの男
にジョン・トラヴォルタ。今回は、トラヴォルタの方がいろ

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09月29日(水)
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