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On the Production
by 井口健二
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■第71回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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今回は、ちょっと雑談風に始めてみよう。
先日インターネットの検索で自分の名前を入れてみたら、
初めて見るサイトがトップに挙がっていた。そこで試しに覗
いてみると、そこでは“Star Wars”のEpisode VII〜IXのこ
とが話題になっていて、最近流れた噂に対するルーカスフィ
ルムの公式発表の中の、「7話以降の計画は最初から無かっ
た」という報道に対して、当時の情報がどうなっていたか検
証されていた。そして、当時出版された『ジェダイの復讐』
(新発売のDVD−Boxでは『ジェダイの帰還』になるよ
うだ)の単行本に書いた僕の記事が引用されて、名前が登場
していたものだった。
それはそれでいいのだが、そのサイトを読んでいて一つ気
付いたことは、27年も前の話など最早知らない若い人も多く
なっているという現実だった。そんな訳で、ここでは当時の
状況を多少説明させてもらうことにする。
まず、このシリーズが全9話で構成されるということは、
当時(27年前)映画の仕事をしていた人たちには常識だった
ような気がする。ただしその情報の出処については記憶が曖
昧で、多分“Star Wars”の公開時か何かの、Timeあるいは
Newsweek誌辺りの特集記事が発端だったと思うが、現在は資
料が手元にないので確かめることが出来ない。なおここで言
う“Star Wars”とは“Episode IV−New Hope”のことだ。
そして記憶をたどると、確かその記事では“Star Wars”
は、それぞれが3部作となる3つの物語の、真中の3部作の
第1話だという説明があって、なぜ真中から始めたかという
ことについては、それが一番製作費が掛からなかったからと
いうものだ。つまりこれは、当時のジョージ・ルーカスに対
して行われたインタヴュー記事での発言で、そこではルーカ
ス本人が全9話だと言っていたことになる。
しかし、当時のルーカスの置かれた状況を考えると、彼の
頭の中には確かに全9話の構想があったとしても、それを他
人に話せるような状況であったかどうか、つまり彼は目前に
迫った続編『帝国の逆襲』の構想を進めなければならず、さ
らに『ジェダイの復讐』までは構想したとしても、その後に
前日譚の3部作が続くとなれば、Episode VII〜IXの構想を
ルーカスフィルムが会社として検討する余裕など、全く無か
ったとも考えられる
そう考えると、今回の報道でルーカスフィルムが会社とし
てEpisode VII〜IXの検討をしたことが無いという発言は、
あながち嘘ではないような気もしてくるものだ。
それともう一点気になる事実として、当時ルーカスが協力
を仰いでいた女性SF作家リー・ブラケットの存在がある。
彼女は“Star Wars”の公開の翌年の1978年に、『帝国の逆
襲』の第1稿を遺して亡くなるが、生前にルーカスとブラケ
ットが全9話の構想を話し合ったことは当然考えられること
だ。そこでもし、ブラケットのEpisode VII〜IXの構想が、
ルーカスの考えと違っていたら。しかもその違いを修正でき
ないまま彼女が亡くなったとしたら。そしてルーカスが彼女
の意見を尊重して『帝国の逆襲』を作ったとしたら。
この『帝国の逆襲』の脚本は、ブラケットとローレンス・
カスダンの共同の名義になっているが、これがブラケットの
意見を尊重したものとすれば、それは当然Episode VII〜IX
にも続く設定となっていたはずで、この時点でルーカスが、
最早自分の構想した物語を描くことを出来なくなってしまっ
た可能性は、充分に考えられるところではないだろうか。な
おルーカスは、『帝国の逆襲』も、『ジェダイの復讐』も、
なぜか自分では監督しようとしなかったものだ。
そう考えると、ルーカスがEpisode Iの発表以降、Episode
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09月15日(水)
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