ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■LOVERS、珈琲時光、リディック、アラモ、最狂絶叫計画、ティラミス、お父さんのバックドロップ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『LOVERS』“十面埋伏”             
チャン・イーモウ監督の『HERO』に続く武侠映画。  
監督は、『HERO』の来日記者会見で、武侠映画は癖にな
りそうだと語っていたが、その発言通り第2作が誕生した。
しかも『HERO』のときは初めての武侠映画で、色使いな
どにイーモウらしさはあったものの、全体は明らかにアクシ
ョンに流されていたのに対し、本作『LOVERS』では、
主人公3人の感情の起伏が見事に描かれ、間違いなくイーモ
ウの映画になっている。                
時は西暦859年、中国は唐の時代。その朝廷を脅かす一大勢
力・飛刀門。しかしその組織は謎に包まれ、その本拠の所在
すらも知れなかった。                 
そこでその本拠を探るべく、罠が仕掛けられる。それは飛刀
門の頭目の娘と思われる盲目の踊り子を一旦逮捕し、官吏の
一人が彼女の脱走を手助けして信用させ、本拠地へと案内さ
せようというものだ。                 
その任に付くのは金。金は女性を救出し、彼女の言うままに
北へと馬を走らせる。しかしその後を追うのは事情を知らな
い朝廷の派遣した兵士たち。金は任務の遂行のため壮絶な闘
いを強いられる。そして彼女も見事な闘いを披露し始める。
この盲目の踊り子をチャン・ツィイー、金を金城武が演じて
いる。主人公にはもう一人、アンディ・ラウが演じる役柄が
あるが、上記の物語からも明らかなように、全体の展開の中
では、金城とツィイーの2人が主演と言っていい。    
また金城の役柄は、コミカルから壮絶なアクションまで幅広
い演技力が要求されるものだが、金城はイーモウ監督の初の
起用によく応えている。逆に彼の持っている演技の幅が、イ
ーモウに金城を起用させた理由のようにも感じられた。  
なお、アクションはワイヤーを多用したトリッキーなものだ
が、『グリーン・ディスティニー』を髣髴とさせそれを数段
上回る規模で行われる竹林での闘いや、遊郭でのツィイーの
踊りに絡ませたアクションなどが、随所に登場して息もつか
せず楽しませてくれる。                
『トロイ』のCGIアクションや、『キング・アーサー』の
物量を掛けた闘いのシーンも見事だが、本作のようにいろい
ろの仕掛けやワイヤーワークを駆使した生身の闘いも見応え
があった。                      
                           
『珈琲時光』“珈琲時光”               
小津安二郎生誕100年記念作品と銘打たれた台湾の侯孝賢監
督作品。歌手の一青窈を主演に、自立した女性のちょっとし
た日常が描かれる。                  
台湾で日本語教師をしながらフリーライターで生計を立てて
いる女性が主人公。彼女の、恋人と言っても良い古本屋の主
人(浅野忠信)や群馬県に住む両親(小林稔侍・余貴美子)
との交流が、淡々とした演出で描かれる。        
映画はワイド画面だが、巻頭スタンダードサイズの松竹のロ
ゴが登場する。                    
一方、物語の始めでは、鬼子母神近くの都電の走る風景から
写し出される。この都電は都内に住んでいる自分には意外性
はないが、都電が残っていることを知らない人が見たら、一
気に小津ワールドという感じなのだろうか。       
正直に言って、小津が描いた日本の風景など、現代の東京か
らは失われたものと考えがちだったが、この作品は、日本人
の目には写らない日本の風景を、外国人の監督の目によって
見事に写し出されてしまった感じだ。          

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07月31日(土)
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