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On the Production
by 井口健二
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■第67回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 最初に前回の補足から。
 前回紹介したミュージカル作品“Time After Time”の記
事では、ウェブにアップする際に、全体の文書量との関係で
一部を端折ってしまった。このため多少判り難くなってしま
った面があるようなので、少し補足しておきます。
 この計画は、前回紹介したように、劇作家のブライアン・
ヨーキーが自作の映画化を目指して、私費を投じて出演者の
オーディションを行い、選ばれた俳優たちに歌唱、ダンスの
リハーサルも行ってきたもので、その成果をハリウッドの製
作担当者たちに披露したというものだ。
 ただし、そこで披露されたのはダンスを中心に30分ほどの
抜粋で、その際に全体の概要や音楽を納めたiPodが渡され、
オフィスに戻ってPCに差し込むとその全容が判る仕組みに
なっていた。なおこのiPodは、アップル社とのタイアップで
提供されたものだそうで、実はこの記事が掲載された同じ日
のVariety紙には、iPodの大きな広告も掲載されていた。
 そして、この抜粋とiPodの内容を見たユニヴァーサルの担
当者が、映画化権の獲得に乗り出したもので、その結果、最
高75万ドルの契約が結ばれたということだ。因にユニヴァー
サルは、最初に抜粋の披露を見せたスタジオだったそうだ。
 それからもう一つ、この作品の題名に関して、知人からシ
ンディ・ローパーの楽曲の題名であることをご教示いただい
た。つまりこの作品では、出演も予定されているローパーの
楽曲名を作品名にしていることになる訳だが、映画には音楽
とは別に題名の権利が存在しているもので、やはりワーナー
作品との問題は残りそうだ。
 なお、すでにユニヴァーサルでは、ローパー以外で作品に
登場している楽曲についても、映画で使用するための権利の
交渉に入っているということで、その交渉がまとまれば、映
画化の実現はかなり早いものになりそうだ。
 ということで補足は終了、以下はいつもの製作ニュースを
紹介しよう。
        *         *
 昨年11月15日付の第41回と今年4月15日付の第51回でも紹
介した『エクソシスト』の発端を描く新作“Exorcist: The
Beginning”が8月に全米公開されるレニー・ハーリン監督
の次回作として、古代から北欧で活躍してきたヴァイキング
たちを主人公にした映画に挑戦する計画が、モーガン・クリ
ーク社から発表された。
 この作品は、“The Northmen”という題名で、ショーン・
オキーフとウィル・ステイプルスの脚本を映画化するもの。
2人のヴァイキングの兄弟が、誘拐してきたイギリスの王女
に恋心を持ったことから始まるドラマを描くものだそうだ。
 元々スカンディナヴィアの出身で、幼い頃からいろいろな
民話などを聞かされて育ってきたハーリンにとって、ヴァイ
キングは言わば心のヒーローのようなもの。15年以上も前か
ら彼らの映画を撮りたいと考えていたということだ。そして
その夢がようやく実現するものだが、ハーリンは、「表面は
ラヴロマンスだが、映画では古代ヴァイキング社会の複雑な
内情を克明に描きたい」としている。
 因にハーリンは、1995年製作の『カットスロート・アイラ
ンド』で、当時夫人のジーナ・デイヴィスを主演に、時代も
のの海洋アクションを手掛けたことがあるが、このときは、
作品的な評価はされたものの、興行的には今一つだった。今
回はその分も含めて成果を期待したいものだ。
 なお、ハーリン監督の作品では、他にインターメディア製
作のサイコスリラー作品“Mindhunters”が来年公開予定に
なっている。また、今回の脚本を手掛けているオキーフ=ス
テイプルスのチームは、ローランド・エメリッヒ監督向けに

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07月15日(木)
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