ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459994hit]
■第65回
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
最初は、いつか出てくると思っていたこの話題から。
作家のレイ・ブラッドベリが、マイクル・ムーア監督のパ
ルムドール受賞作にご立腹なのだそうだ。
受賞作というのは言うまでもなく“Fahrenheit 9/11”の
ことなのだが、このタイトルについて、それがブラッドベリ
の原作で映画化もされた名作“Fahrenheit 451”(華氏45
1)からインスパイアされたことが明らかなのに、ムーアか
らは一言の挨拶もない、ということだ。
実はブラッドベリは1957年に、同作品が“Playhouse 90”
というテレビ番組で、原作者の許可なくドラマ化された際に
は、番組を製作したCBSを裁判所に訴え、勝訴していると
いうことだが、今回の件に関しては、それが法律に触れるよ
うなことでないことは了解しているそうだ。しかし、同作品
が発表から50年を過ぎて、今だに全米の学校で教科書として
使われている事実からして、ムーアが同作品のタイトルから
映画のタイトルを思いついたことは間違いなく、それなら一
言ぐらいあってもいいのではないか、ということのようだ。
さらにブラッドベリは、「彼(ムーア)は間抜け野郎だ、
とても良い人間とは思えないね」とまで言ったそうだ。
実際、今回この情報を伝えたVariety紙の記事でも、「華
氏451度が紙の燃える温度であることは、今や誰でも知っ
ている」という書き出しで始まるほど、アメリカでこの作品
の知名度は高い訳で、ブラッドベリの発言は、単なる言いが
かりと言えるようなものではない。
そして結局ムーアの事務所からは、「我々はレイ・ブラッ
ドベリに最高の尊敬の念を持っている。彼は、我国の偉大な
小説作家の一人である。ブラッドベリ氏の著作は、我々の映
画の全体に対して多大な影響を与えている。」という文書が
発表されることになったそうだが、これでブラッドベリの怒
りが納まるかどうか。1920年生まれの作家は、まだまだ健在
のようだ。
因に今回の記事では、“Fahrenheit 451”の映画化のリメ
イクの情報については全く触れられていなかった。
* *
以下は、製作情報を紹介しよう。
3月15日付の第59回でも紹介した、本年度アカデミー主演
女優賞受賞者シャーリズ・セロンの新作“Aeon Flux”に、
1996年度の同賞受賞者フランシス・マクダーモンドの共演が
発表された。
この作品は、前回も紹介したように、パラマウント傘下の
MTVで放送されているアニメーションシリーズを実写映画
化するものだが、この製作を担当しているのが『ターミネー
ター』などのゲイル・アン・ハード、そして監督が『ガール
ファイト』のカリン・クサマということで、まさに女だらけ
のアクション映画になりそうだ。
お話は、数100年(前回の記事では400年だったが、今回は
1000年になっていた)後の未来が舞台。疫病により人類が死
滅しかけている時代の未来都市を背景に、時の政府に反抗す
るアクロバティックなヒロインが活躍する物語で、このヒロ
インをセロンが演じ、マクダーモンドはヒロインが参加する
反抗組織のリーダー役。ただし、ヒロインは自分の行動に疑
問を持っているということだ。
脚本は、2001年にキルスティン・ダンスト主演で映画化さ
れた“Crazy/Beautiful”のフィル・ヘイと、ジャッキー・
チェン主演『タキシード』のマット・マンフレディ。特に、
ヘイが手掛けた作品では、細部へのこだわりや物語の展開が
かなり評価されているようなので期待したい。
撮影は8月にベルリンで開始の予定。オスカー女優2人の
共演も楽しみだが、アニメーションの原作からは『マトリッ
クス』以上のVFXアクションが期待できそうで、これを新
[5]続きを読む
06月15日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る