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On the Production
by 井口健二
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■ハリー・ポッターとアズカバンの囚人、雲−息子への手紙、父、帰る、危情少女、誰も知らない、16歳の合衆国、シュレック2
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
“Harry Potter and the Prisoner of Azkaban”
待望のシリーズ第3弾。ポッターら3人組のホグワーツ魔法
学校での3年目が始まる。
今回は、魔法界での究極の刑務所アズカバンから脱走したシ
リアス・ブラックを巡って、それを追うため派遣された吸魂
鬼ディメンターを交えたポッターの冒険が展開する。
上映時間は2時間22分。『王の帰還』が3時間を超えたのに
はかなわないが、観客の年齢層が低いことを考えれば、これ
がぎりぎりのところだろう。そして今回の映画化は、この上
映時間の中に、実に手際良く物語が納められている。
以前、カート・ヴォネガットの『スローターハウス5』がジ
ョージ・ロイ・ヒルによって映画化されたときに、試写を見
た原作の翻訳者の伊藤典夫さんが、「本の挿絵を見ているよ
うな映画化だ」と評したことがあったが、この映画化もそれ
に近い。
実際に映画を見ていると、原作のこのシーンが見たいと思っ
たシーンが次々に登場してくる。しかし、例えばダーズリー
家を飛び出したポッターがナイトバスに辿り着くまでがあっ
と言う間だったり、もっといろいろあったはずの部分がほと
んど欠落している。
それでも上映時間は2時間22分もあるのだから、これはもう
仕方がないとしか言いようがない。原作の読者としては、映
画を見終って、もう一回原作を読み直したくなる気分に誘わ
れる感じだった。
とは言うものの、映画は間違いなく楽しめる。原作を読んで
いない人にどうかは判らないが、見たいシーンが次々に万華
鏡のように飛び出してくるのだから、ファンには堪らない作
品だ。この映画は原作の読者への最高のプレゼントと言える
かもしれない。
なお、翻訳本が出たときに、新たな登場人物のLupinをルー
ピンと読ませていたのが疑問だったが、映画の中でもルーピ
ンと発音されていたようだ。フランス人ならルパンだと思う
が、イギリス人はそうは呼ばないらしい。フランス語版はど
うなっているのだろうか。
原作はこの後どんどん話が重くなって行くが、今回の映画化
はその前哨戦として、恐怖感はそれなりに描いたものの、全
体の雰囲気は極力軽くしようとした意図も感じられる。これ
で第4巻の結末の重さをどこまで軽減できるか、今後の展開
につながりそうだ。
『雲−息子への手紙』“Nuages lettres a mon fils”
『ノー・マンズ・ランド』などの製作者でもあるフランス生
まれの女性監督マリオン・ヘンセルによるドキュメンタリー
作品。
世界中の雲を撮影しながら、自らの妊娠、出産、離婚などの
人生を、息子への手紙として綴って行く。そしてこの手紙の
朗読を、フランス語版はカトリーヌ・ドヌーヴ、英語版はシ
ャーロット・ランプリングなど6カ国のトップ女優が務めて
いる。
監督は僕と同い年で、息子は18歳。彼女の言いたいことは判
るような気のする部分もあるし、また男性では判りにくいと
ころもある。しかしこれが彼女の人生で、その人生の山谷が
淡々と綴られているのは、それだけの年月がそこに費やされ
たということだろう。
そして映像では、次々に変化して行く雲の姿が、ディジタル
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06月14日(月)
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