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On the Production
by 井口健二
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■第61回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 まずは、前回記事を書いているときにも、多少気にはなっ
ていたのだが、まさかここまでこじれるとは思わなかった話
題で、“Sin City”での共同監督の問題に絡んでアメリカ監
督協会(DGA)からの脱退を表明したロベルト・ロドリゲ
スが、その影響で前々回報告した“A Princess of Mars”の
監督契約を履行できないという事態に追い込まれた。
 前回の記事では、“Sin City”の映画化に際して原作者の
フランク・ミラーを共同監督として起用しようとしたロドリ
ゲスが、1作品1監督を決まりとするDGAの注意を受け、
すでにミラーの共同監督を条件として映画化権を契約してい
たロドリゲスは、契約を優先させるためにDGAからの脱退
を表明したものだ。
 ところが“A Princess of Mars”の映画化を進めるパラマ
ウント社は、DGAに所属する監督以外とは契約しないとい
う取り決めを結んでおり、このためDGAを脱退したロドリ
ゲスには映画を作らせることができなくなってしまったとい
うもの。この事態に同社とロドリゲスの間で話し合いは持た
れているものの、監督がDGAへの復帰を拒む意思は固く、
このままでは来年早々の撮影は、ロドリゲス監督の下では不
可能ということになるようだ。
 なおDGAの言い分は、「創造上の決定やヴィジョン、主
導権、政策上の問題などで、共同監督というのは現実的に有
り得ない」というもの。しかしその一方でDGAは、全米公
開中の『レディ・キラーズ』ではコーエン兄弟の共同監督を
認めている訳で、その矛盾を指摘する声も上がっている。い
ずれにしても監督協会が、本来なら協会員であるはずの監督
の仕事を妨害してどうするの?という感じだが、この先の展
開はかなり不透明度が高いようだ。
 因に、“Sin City”の撮影は、3月29日にジョッシュ・ハ
ートネット、マーリー・シェルトン、ブルース・ウィリス、
ミッキー・ローク、イライジャ・ウッド、カーラ・ギグノの
出演で、テキサス州オースティンにあるロドリゲスの自前の
スタジオで開始されており、この作品には、他にジョニー・
デップ、スティーヴ・ブシェミ、マイクル・ダグラス、レオ
ナルド・ディカプリオらの出演も予定されている。
 なお、製作のディメンションと親会社のミラマックスは、
DGAとの取り決めを結んでいないそうだ。
        *         *
 続いても続報で、前回最後に紹介したスカーレット・ヨハ
ンセンの企画、主演による“Napoleon and Betsy”と同じ、
ナポレオン・ボナパルトとイギリス人少女の物語が、アル・
パチーノの主演でも作られることになり、“Alexander” に
続く競作となることが報告された。しかもこの競作、舞台裏
がかなり複雑になっているようだ。
 新たに報告された計画は、ステイトン・ラビンが発表した
“The Monster of Longwood”という歴史小説を、マイクル
・トーキンとポール・オースターが脚色、『王妃マルゴ』の
パトリス・シェローの監督で映画化するというもので、プロ
デューサーのハワード・ローゼンマンが企画、すでに大方の
出資者も決定して、後は海外配給権の契約で残りの製作費を
調達する段階ということだ。
 ところがこの計画では、当初パチーノの共演者にヨハンセ
ンが予定され、昨年の秋には一緒に脚本の読み合わせもして
いたというのだ。しかも、ヨハンセンの計画で脚本を担当し
ているレベッカ・B・ケネディは、実はローゼンマンの計画
で脚本の第1稿を担当していたということだ。
 さらに、スカーレットの母親のメラニー・ヨハンセンは、
ローゼンマンの計画でアソシエートプロデューサー、また、
メラニーと共に“Napoleon and Betsy”のプロデューサーに

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04月15日(木)
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