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On the Production
by 井口健二
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■第60回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 今回もアカデミー賞効果と言えそうなSF/ファンタシー
映画の話題から紹介しよう。なおこの情報は、前回の更新直
後に届いたものだ。
 2002年6月1日付の第16回で紹介したトム・クルーズ主演
によるH・G・ウェルズ原作“The War of the Worlds”の
映画化に、スティーヴン・スピルバーグの参加が発表され、
2005年後半に撮影の計画が公表された。
 この計画では、元々は『ジョーズ』などを手掛けた製作者
のデイヴィッド・ブラウンが、パラマウントにアンソニー・
バージェスの手になる脚本を持ち込んだのが最初とされる。
 バージェスは、1971年にスタンリー・クーブリックが映画
化した『時計じかけのオレンジ』の原作者としても知られる
イギリスの作家と思われるが、彼は1993年に亡くなっている
ので、この話は少なくとも1990年代前半ということになる。
そしてこの脚本では、物語の舞台を、原作通りの19世紀末の
ヴィクトリア朝ロンドンに設定していたということだ。
 しかしこの計画はなかなか実現せず、ブラウンは一旦この
企画をパラマウントから引き上げ、ドリームワークスに持ち
込んでいる。このときドリームワークスでは、『ディープ・
インパクト』を計画中ということだから、これは1998年より
前の話ということになる。だが、ドリームワークスでも、こ
の企画は実現しなかった。
 因に、『ディープ…』は1951年パラマウント配給、ジョー
ジ・パル製作の『地球最後の日』のリメイクとされるが、そ
の大元にはウェルズ原作の短編小説が存在する。この短編は
1964年の東宝映画『妖星ゴラス』の元になったとも言われる
ものだ。特に、『ディープ…』で人類が地球を脱出しない設
定なのは、ウェルズの作品に近い。
 ということで、今回の計画には、最初からパラマウントと
ドリームワークスは絡んでいたことになる。そしてこの計画
が改めて動き出したのは、第16回で紹介した2002年5月のこ
とだ。ただしこのときは、パラマウントとクルーズ/ワグナ
ーの計画として発表されている。また脚色には、最近クライ
ヴ・カッスラー原作の“Sahara”などを手掛けているジョッ
シュ・フリードマンの名前が上げられていた。そしてこの計
画もなかなか実現されないまま、2年近くが経過していた。
 このようにこの計画は、点いては消え、消えては点きだっ
た訳だが、今回スピルバーグの監督が決まったのには、上記
の経緯もさることながら、前回の発表がちょうど『マイノリ
ティ・リポート』の製作時期に重なっていたのも要因と考え
られそうだ。恐らくは、この時期に顔を合わせる機会の多か
ったクルーズとスピルバーグの間で、この計画も話し合われ
ていたのだろう。
 そしてスピルバーグの関係で、『ジュラシック・パーク』
の最初の2作を手掛けたデイヴィッド・コープが脚色のリラ
イトを担当することも決定し、ここに強力なトリオが実現す
ることになったものだ。因に、クルーズとスピルバーグは、
彼らが気に入る脚本が出来次第、直ちに製作に取り掛かる意
向とされている。
 ただし、スピルバーグは、現在トム・ハンクス、キャサリ
ン・ゼタ=ジョーンズ共演の“The Terminal”を監督中で、
その後には“Indiana Jones”の第4作と、19世紀の演劇界
を描く“The Rivals”という作品も予定されている。この内
“Indy 4”については、ちょっと難しくなってきてる感じも
するが、取り敢えずは2作済ませてからの2005年後半という
ことのようだ。
 また、クルーズは、パラマウント=ドリームワークス共同
製作による“Collateral”の撮影は完了したようだが、続い
ては、パラマウント=クルーズ/ワグナー共同製作、ジョー

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04月01日(木)
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