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On the Production
by 井口健二
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■第59回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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まずはアカデミー賞の講評を簡単に書いておこう。
今回のオスカーは、すでにご承知のように“The Lord of
the Rings”の11部門(候補になった全部門)での受賞とい
う圧勝に終った訳だが、永年SF/ファンタシー映画を追い
続けてきた者にとっては、こんなに嬉しいことはなかった。
実際、翌日の試写室で「今年は予想通りで詰まらなかった」
などと話している連中を見たときには、「お前らは本当に映
画が判っているのか、過去の経緯を心得ているのか」と聞き
返したくなったほどだ。
思えば、1978年3月の受賞式に、1977年度の作品賞候補と
して『スター・ウォーズ』が挙げられて以来、81年度の『レ
イダース/失われた聖櫃』、82年度の『E.T.』と続いて、
特に82年度は受賞間違いなしと思っていたものが、見事に裏
切られた(受賞作は『ガンジー』)ときには、アカデミー賞
の存在自体を呪いたくなったものだ。それは94年度の『フォ
レスト・ガンプ』、97年度の『タイタニック』で比較的近い
作品が受賞を果たしても変わることはなかった。
だから今回は、2001年度から3年連続の候補で、直前のゴ
ールデン・グローブ賞などを総嘗めにしても、最後の最後ま
で緊張は解けなかった。確かに、3年連続の労い賞だとか、
良く頑張ったで賞とか言われてもいるが、Variety紙の記事
でも何かほっとしたような論調なのは、永年このジャンルの
作品を無視し続けたことへの後ろめたさのようにも感じた。
実際その記事の中でも、これでハリウッドが変わると予言ま
でしている。本当にそうあって欲しいものだ。
ということで、以下は定例の製作ニュースを紹介しよう。
* *
といっても、最初はアカデミー賞の効果と言って良さそう
な話題だが、永年滞っていた待望の計画がついに動き出すこ
とになりそうだ。
2002年5月1日の第14回で紹介したパラマウントの計画、
“A Princess of Mars”に始まるエドガー・ライス・バロー
ズ原作「火星」シリーズの映画化に、『スパイ・キッズ』、
『レジェンド・オブ・メキシコ』のロベルト・ロドリゲス監
督の契約が発表された。
この計画は、ユニヴァーサル配給の『ハムナプトラ』シリ
ーズなどを手掛けたアルファヴィル・プロダクションが進め
ているもので、同社の要請でパラマウントは、2002年にコロ
ムビアなどとの争奪戦の末に、最低30万ドルから最高200万
ドルの契約金で、バローズの遺族から映画化権を獲得してい
たものだ。
そしてすでに、『ザ・セル』などのマーク・プロトセヴィ
ッチによる脚本も完成しているということで、ロドリゲスは
来年早々の撮影開始という線で計画を進めるとされている。
従ってこの計画通りなら、2006年の夏〜クリスマスシーズン
には、映画版のジョン・カーターとデジャー・ソリスに会う
ことができそうだ。
なお、撮影はロドリゲスが本拠を置くテキサス州オーステ
ィンを中心に行われるということで、これは“The Lord…”
でのピーター・ジャクスンのやり方に倣うということだが、
実はロドリゲスは、すでにオースティンにスタジオと特撮工
房を構えており、これはおそらく『スパイ・キッズ』の製作
用に作られたものと思われるが、その設備を駆使して製作が
行われることになりそうだ。
またロドリゲスは、このシリーズについて、「“The Lord
…”の後に残された映画化されていない作品の中で、最も有
名なファンタシーの古典と言える作品だ。今までは技術が追
いついてくるまで実現が不可能だった」と語ったそうだが、
正直に言って、JRRトーキンの“The Lord…”の原作は、
文学的にも優れた作品だが、バローズの作品は決してそのよ
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03月15日(月)
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