ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460190hit]

■ゴッド・ディーバ、スイミング・プール、イン・ザ・カット、リアリズムの宿、スクール・オブ・ロック、卒業の朝、上海家族
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『ゴッド・ディーバ』“Immortal Ad Vitam”       
フランスのグラフィックノヴェル作家エンキ・ビラル原作、
脚本、監督によるSF映画。              
ビラルが1980年から発表しているニコポルのシリーズ3部作
の中から、第1作の『不死者のカーニバル』と第2作『罠の
女』に基づく映画化。                 
『ブレードランナー』のヴィジュアルイメージの基になった
作家と宣伝コピーにあるが、確かにこの原作は1980年の発表
だから、1982年公開の作品には符合している。本作にも登場
する空中に浮かぶメッセージボードなどの映像は、なるほど
と思わされた。                    
2095年ニューヨーク。ハドソン川の上空には巨大なピラミッ
ドが出現し、一方、セントラルパークに出現した異空間は、
人々の調査を拒絶している。また街にはミュータントやエイ
リアンが溢れている。                 
そのピラミッドの中では、一人の古代の神が反逆罪に問われ
死刑を宣告されている。彼は刑の執行までに7日間の猶予を
与えられ、地上へと降り立つ。そして冷凍監獄を脱出した政
治犯ニコポルの助けを借りて、一人の女性の探索が始まる。
物語は複雑と言うほどではないが、程よくいろいろな要素が
組み合わされ、それに見事な未来世界の映像が展開されて、
1時間44分は飽きさせない。特に、架線から給電を受けて空
中を行き来する古びた乗用車の映像は気に入った。    
ビラルは、映画の監督作品も既に3本目と言うことで演出も
手慣れているし、また、主演にシャーロット・ランプリング
や、『戦場のピアニスト』のトーマス・クレッチマンらを据
えているから、見ているほうにも安心感が有る。     
しかも生身の出演者を主要な人物だけにして、ほとんどの登
場人物がCGIという作り方も、ビラルのヴィジュアルを再
現するには適当な方法だったようだ。これらが見事に融合し
て、相乗効果を上げている。              
基本はビラルのヴィジュアルを楽しむ作品。従来のアニメー
ションでは描き切れなかった世界が、3D−CGIで見応え
充分に描き出されている。               
                           
『スイミング・プール』“Swimming Pool”        
シャーロット・ランプリングとリュディヴィーヌ・サニエの
共演、『8人の女たち』のフランソワ・オゾン監督で、2003
年カンヌ映画祭で上映された作品。           
見終って一言、やられましたと言う感じだった。     
年代の違う女性2人の共演で、ジェネレーション・ギャップ
を描くのかと思いきや、事件が起こり、さらに謎に満ちた結
末に導かれる。誰が誰を騙しているのか、はたまた本当に事
件は起きたのか。観客の想像力を見事に掻き立てる。   
オゾン監督は、『8人の女たち』の時も、見事に映画ですと
言う感じの作品を提示してくれたが、本作もまた別の意味で
映画を感じさせてくれた。               
最近、別の映画の宣伝コピーで、「アメリカ中が騙された」
というような文を見かけたが、観客を騙すと言う意味では、
この作品の方が数段上だ。               
ランプリングは、『ゴッド・ディーバ』に続いて見ることに
なったが、未来映画の中で、ある意味中性的に描かれた主人
公に対して、本作ではいろいろな意味で女を演じている。し
かも監督が、女性を撮らせたら当代一とも言えるオゾンなの
だから、その演じっ振りも見事なものだった。      
一方、サニエは『8人の女たち』に続くオゾン作品だが、ち

[5]続きを読む

02月29日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る