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On the Production
by 井口健二
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■第57回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 まずは衝撃的なこの話題から。
 『トイ・ストーリー』から『モンスターズ・インク』、そ
して『ファインディング・ニモ』まで、3D−CGIアニメ
ーションの時代を築き上げてきたピクサーとディズニーのコ
ンビが解消されることになった。
 ピクサーは、元々はジョージ・ルーカスの下でVFX用の
3D−CGIアニメーションを研究開発していたチームで、
1985年の『ヤング・シャーロック』に登場したステンドグラ
スの剣士などを手掛けていた。そのチームが独立、1991年の
ディズニー作品『美女と野獣』の舞踏場のシーンで注目を集
め、1995年の『トイ・ストーリー』以後、ほぼ2年に1作の
ペースで、ディズニーを配給元として作品を発表してきた。
 しかし、昨年1月にピクサーが行った新作の製作発表で、
ディズニーとの離別を示唆するなど、今年の契約更改に向け
た行動が始まっていた。そして昨年の『ファインディング・
ニモ』の記録的大ヒットで発言力を強くしたピクサーは、作
品から派生する各種の利権についてより多くの権利を要求、
その結果、交渉が決裂となったものだ。
 確かに交渉しているのだから、それが常にまとまるという
ものではないが、ヒット作、話題作を次々に生み出してきた
コンビの解消はやはり衝撃と言える。ただし、ピクサーとデ
ィズニーの契約はあと2本残っていて、その1本目の“The
Incredibles”は今年の11月、そして最終作となる“Cars”
は2005年末公開の予定になっている。因に、ルート66を走る
自動車を主人公にした“Cars”では、ポール・ニューマンが
声優に挑戦することでも話題になっているようだ。
 また、今回の契約解消では、ディズニー側が過去の作品に
関する権利を確保、この結果、ディズニーは上記の作品や、
1998年の『バグズ・ライフ』などの続編、テレビシリーズを
自由に作ることができ、それに対してピクサーは、通常のロ
イヤリティーを得られるだけとなるようだ。
 とは言え、ピクサーには新しい未来が開かれる訳で、その
第1作は昨年1月に製作発表された作品になるようだが、そ
の作品の題名は未定なものの、内容は、巨大なレストランを
舞台にしたネズミたちの冒険とされている。まあ、ネズミが
主人公の作品を、ミッキーマウスのディズニーで発表すると
いうのもちょっと変だったかも知れないというところだ。 
 そしてその配給権には、フォックス、ワーナー、ソニー、
ユニヴァーサルの各社が名乗りを挙げているということだ。
従って、この内の1社からピクサーの新作が配給されること
になる訳だが、ディズニーとの契約には、最終作が公開され
てから1年間は新作を発表できないとする条項があるという
ことで、新作の公開は早くて2006年11月になるようだ。
 一方、ディズニーも交渉決裂を見越しての準備は進めてい
たようで、昨年来、東京やフロリダに分散していたアニメー
ション部門を、本社スタジオのあるバーバンクに結集。さら
に、今後は3D−CGIを主流としたアニメーションの製作
を進めるとした発表も行われている。
 そしてその第1弾には、絵本作家のウィリアム・ジョイス
が自ら脚本を執筆した“A Day With Wilbur Robinson”の映
画化を、今年の6月に製作開始、2006年夏の公開で行うこと
が発表された。因にこの原作は、失われた過去の記憶を再現
する機械を発明した天才少年が活躍するコメディ・アドヴェ
ンチャーで、映画化の情報は10年以上前から流されていた。
なお映画化は、『ブラザー・ベア』のスティーヴ・アンダー
スンが監督し、製作費は『リロ&スティッチ』並の8000万ド
ルが当てられるということだ。
 またディズニーでは、『シュレック』を手掛けたヴァンガ

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02月15日(日)
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