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On the Production
by 井口健二
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■ヘブン・アンド・アース、恋する幼虫、悪霊喰、ブラザー・ベア、ハンター、ソニー、ギャザリング、ドッグヴィル
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ヘブン・アンド・アース』“天地英雄”
ソニー=コロムビア資本で製作された中国映画。
唐と呼ばれていた時代の中国西域を舞台にした物語。シルク
ロードによる交易が盛んになる中、西域には仏教を基とした
諸国が成立している。しかしその間の争いは絶えず、さらに
西からはトルコによる侵略が始まっている。
そんな中に一人の日本人・来栗がいた。彼は、遣唐使として
13歳で海を渡り、長安で武術、戦術を学び、その才能を認め
られて、皇帝の命により悪人を捕える官吏となっている。し
かし渡航して25年が経ち、望郷の念に苛まれている。
その来栖に、帰国の許可と最後の任務が与えられる。その任
務とは、皇帝に任官された上官の命に背き、トルコ人処刑の
拒否とその逃亡を助けた男・李の逮捕または殺害。しかし李
の行った行為は人道に叶ったものだった。
ところがその上官がトルコ軍に殺され、来栖は上官の娘を安
全な長安に送り届ける役を受ける。そしてその行程で、来栖
は隊商を護衛する李と遭遇、壮絶な闘いの中で李の人格に触
れた来栖は、李が隊商警護の任を全うした後、長安で決着さ
せることとして、旅を共にすることになる。
しかしその隊商には、西域の将来を左右する重要なものが積
まれており、それをトルコ軍が執拗に狙っていた。
この日本人・来栖役を中井貴一がある意味飄々と巧みにこな
している。実際には、李と上官の娘・文殊にもう少し焦点が
当てられてもいいし、多分三角関係になっているところも匂
わせるが、敢えてその辺を切り落としてアクション映画に徹
しているところは巧い。
そのアクションは、来栖と李の1:1の闘いも良かったし、
町中での闘いや騎馬戦、そしてトルコ軍との壮絶な戦闘も巧
く描かれていた。実際、ほとんどのべつ幕無しに、手を変え
品を変えての闘いが続く構成も見事だった。
上映時間は1時間59分。よく似た作品では、先に韓国映画の
『MUSA』があり、あの作品は2時間13分もあった割りに
はちょっと喰い足りない感じだったが、その点、本作の長さ
は丁度よいという感じだった。それだけ密度が濃いと言うこ
とだろうか。
『恋する幼虫』(日本映画)
前作『クルシメさん』が話題になった劇団・大人計画の俳優
でもある井口昇監督の新作。
前作も見ていないし、特別に見る理由はなかったのだが、取
り敢えず同姓と言うことが気になって見に行ったというとこ
ろ。上映前に挨拶があり、自主映画のスタンスと言うことな
ので、評価もそこから出発したい。
物語は男女のトラウマを背景に、それが引き起こす騒動を描
く。そして全体は、ちょっとH(Horror)なラヴコメディー
として展開する。テーマ自体は悪くないし、自主映画の割り
には、荒川良々、新井亜樹、乾貴美子といった俳優も揃って
いて、見ていて違和感はなかった。自主映画の中では水準は
高いと言える。
だが、構成がやはり弱い。劇団系の人の作品にはいつも同じ
ような感じを持つが、結局、映画と舞台の違いがそこにある
のかもしれない。1時間50分の作品だが、単純には後20分ほ
ど短くした方が良いように思う。全体にテンポが感じられな
いと言うか、映画のテンポではないのだ。
それから結末は、やはりハッピーエンドはおかしい。この展
開では、アンハッピーエンドにするのがセオリーだろう。敢
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12月31日(水)
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