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On the Production
by 井口健二
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■第16回東京国際映画祭(後半)
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※このページでは、東京国際映画祭で上映された映画の中※
※から僕が気に入った作品のみを紹介します。 ※
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<コンペティション>
『サンタスモークス』“Santa Smokes”
ドイツ資本で作られたアメリカ映画。
クリスマス間近のニューヨークを舞台に、俳優を目指す若者
の生活が描かれる。オーディションに失敗した主人公は、サ
ンタの衣装をしてビラ配りのアルバイトを始めるが、そこで
エンジェルと名乗る女性と巡り会う。
別段ファンタスティックという物語ではないが、殺伐とした
ところも余りなく、中途半端と言われればその通りだが、見
終って不愉快ということもない。悪い映画ではないが、それ
以上でもない。
映画の中では、多分、ちょっとした奇跡は起きているのかも
知れないし、これがクリスマス・ムーヴィというものなのか
な。そんなジャンルがあるのなら。
『ヴァイブレータ』(日本映画)
寺島しのぶ、大森南朋共演のドラマ。
主人公は31歳のフリーライター。ちょっとアルコール依存症
気味で、過食したものを吐き戻す癖がある。そんな彼女が、
ある日、深夜のコンビニで長距離トラックの運転手と巡り会
い、東京−新潟を往復する行程を共にする。
脚本、監督は、元々ピンク映画系の人たちということで、男
女の情愛が丁寧に描かれる。そして寺島は必要なところはち
ゃんと脱ぐし、その意味では偉いというか、よくがんばって
いると言えるだろう。
いわゆるロードムーヴィのスタイルだが、物語の中には、フ
リートラッカーの実情やCB無線のことなど、いろいろな情
報も語られていて結構面白かった。
30代の女性の揺れ動く心情なども丁寧に描かれていて、優れ
た作品だったと思う。
『ほたるの星』(日本映画)
120年の歴史を持つ山村の小学校を舞台に、都会から来た新
米教師と生徒たちの交流が描かれる。教師は、生徒と共にホ
タルの羽化を試みるのだが、その前にはいろいろな障害が立
ちはだかる。しかし周囲の助けも得て、ついに羽化に成功す
るという感動作だ。
ホタルの飼育の話は全国的にいろいろあるようだが、そこに
は環境問題や河川管理の問題なども絡んで、社会的なテーマ
にも繋げ易い。ということで、見た目お手軽な話の割には、
いろいろ考えさせられる作品になっている。
また、最後にはCGIでホタルの大群舞を見せてくれる。一
応、子供の頃に本物のホタルの飛ぶ姿を見たことのある人間
としては、ちょっとやりすぎの感じもしないではないが、そ
れはそれでよしとしなければいけない作品だろう。
なお、「モーニング娘。」などと同じハロープロジェクト絡
みの作品ということで、ヒロインの転校生の役を、そのキッ
ヅに選ばれた女子が演じている他、数人が出演している。ま
た、挿入歌と主題歌をつんく♂が手掛けている。
『ドリーミング・オブ・ジュリア』“Cuba Libre”
共産革命前夜のキューバを舞台にしたドラマ。
主人公は小学生の少年、地主の家に育った彼が、革命前夜と
いう状況の中で成長して行く姿が描かれる。と言っても、僕
らにはピンと来ない部分もある。当時の情勢などはいろいろ
な映画での知識もあるが、それらとはまた違った状況もあっ
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11月09日(日)
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