ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ブルドッグ、ヴァンダの部屋、ストーリー・ビギンズ・アット・ジ・エンド、悪い男、アフガン・零年、ジョゼと虎と魚たち、キル・ビル
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。       ※
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『ブルドッグ』“A Man Apart”             
『トリプルX』のヴィン・ディーゼル主演、『ミニミニ大作
戦』のF・ゲイリー・グレイ監督によるアクション映画。 
今回のディーゼルの役柄は、米司法省麻薬取締局(DEA)
の捜査官。ストリートギャング上がりの彼は、7年の捜査の
末にドラッグの総元締めルセロの逮捕に成功する。しかし新
たにディアブロと呼ばれる元締めが現れ、ルセロ以上に過酷
な取り引きを始める。                 
そしてディアブロの魔手は主人公にも及び、銃撃戦で最愛の
妻を殺され、彼自身も重傷を負わされる。その傷の癒えた主
人公は、復讐の鬼と化してディアブロを追いつめて行く。 
まあ、典型的なアクション映画のパターンではあるが、その
分安心して見ていられると言うか、変にごたごたした裏話が
ないのはすっきりと楽しめる。アクションも、銃撃戦と、後
は走って悪者を追いつめるというシンプルさで、かえって新
鮮な感じだった。                   
そして最後の犯人逮捕の描き方も、ちょっと最近のハリウッ
ド映画とは違う美学が感じられて、良い感じだった。   
ディーゼルは、『ワイルド・スピード2』に続いて、『XX
X』の続編も降板してしまったが、そんな彼が、多分一番B
級の『ピッチ・ブラック』の続編には出演している。そんな
彼の好漢振りが発揮された作品というところだ。     
                           
『ヴァンダの部屋』“No Quarto da Vanda”       
リスボン市内で、移民たちが多く住むスラム街フォンタイー
ニャス地区。ここにDVカメラを持ち込んで、2年間に亙っ
て撮影されたドキュメンタリー。この地区は、現在再開発が
進んでおり、次々に破壊される住宅のすぐ傍に住む人々の生
活が描かれる。                    
街は、昔は活気もあったのだろうが、今や住んでいるのは行
き場のない人々ばかりで、そのほとんどはジャンキーという
ありさま。その中から、母親と妹、それに刑務所に入ってい
る姉の子供などと一緒に暮らしている女性ヴァンダと、その
幼なじみの黒人青年ニョーロに焦点は向けられている。  
ところがこの2人もジャンキーで、ほとんどの場面は麻薬の
吸引ばかりという状況だ。ただしヴァンダは、同じ監督の前
作の劇映画には演技者として出ているということで、彼女の
麻薬吸引がフェイクであるかどうかは解からない。なおエン
ディングクレジットでは、母親とやはりジャンキーの妹も同
じ苗字だった。                    
ということで、どこまでがドキュメンタリーでどこからがフ
ィクションか判然としない作品だが、映画全体はドキュメン
タリーらしく淡々と進む割りに、3時間の上映時間をほとん
ど飽きさせることなく見せ切っているのは凄い。     
これはやはり演出された作品のようにも思えるが、進行中の
いくつかのストーリーを並行して見せるなど、テクニック的
には上手く作られていた。               
そして現在進行形のドキュメンタリーらしく、結論らしい結
論もないまま映画は終ってしまうのだが、何かずっしり重た
いものを持たされたような、そんな感覚が残った。    
こういうのを見せられると、日本のホームレスなんて甘いも
のだと思ってしまう。もっともこの映画の人々には、一応家
はあるのだが。                    
                           
『ストーリー・ビギンズ・アット・ジ・エンド』     
                     “Arimpara”

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10月16日(木)
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