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On the Production
by 井口健二
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■名もなきアフリカの、さよならクロ、アンダーサスピション、ブルーエンカウンター、二重スパイ、アダプテーション、永遠のマリア・カラス
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。 ※
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『名もなきアフリカの地で』“Nirgendwo in Afrika”
ナチスの迫害を逃れてケニアに移住した一家を描いて、今年
のアカデミー賞外国語映画賞を受賞したドイツ映画。
ドイツで暮らすユダヤ人一家。弁護士の夫は先にケニヤへと
脱出し、農場で働きながら妻と娘を呼び寄せる算段をしてい
る。しかし女子供の出国のためには、全財産をナチスに提出
することが条件であり、それすらも難しくなりつつある。
ドイツでの裕福な暮らしの中、ナチスの脅威を一過性のもの
と信じたい人々は、危険を感じながらも優雅な生活を続けて
いる。そして妻と娘は、ようやくケニヤへの移住を決心する
が、出国できたのは2人だけだった。
見知らぬ土地ケニヤでの生活の始まり、しかも無一文の雇わ
れ農場主の夫は不甲斐なく、生活は貧窮のどん底となる。し
かし幼い娘は、現地人の料理人との親交から、一早く現地の
生活になれて行く。一方、環境の変化に適応できない母親。
そして戦争の勃発。ケニヤに駐留する英国軍は、逃れてきた
ユダヤ人を敵性人として収容所に集める。しかし、収容施設
としてホテルを充てがわれた母と娘にとって、それは優雅な
生活の再来になる。そしてそんな中で母親の意識が変わり始
める。
ユダヤ人が敵性人でないことを訴える運動。続いて夫を開放
する行動。ついに一家は開放され、新たな農場で働くことに
なる。農場の一切を取り仕切るようになる妻、やがて夫は英
国軍に参加し、妻である母親は、逞しく変貌して行く。
終戦。軍曹になっていた夫には、ハンブルグ裁判所の判事の
職への採用が決まる。国家の再建のため帰国を希望する夫。
しかし妻子には、この名もなき地を離れがたく思う気持ちが
育っていた。
実にエピックと呼べる作品だ。物語はこれに娘の成長が絡ま
り、一家の成長が見事に描かれる。物語はユダヤ人迫害の歴
史から描かれ、それがアカデミー賞受賞にもつながったもの
と思われるが、基調となっているのは家族の成長の物語であ
り、普遍的なものだ。
その中で、上の概要には書かなかったが、特に娘の成長が見
事に描かれるのと、母親の変貌の仕方が見事に納得できるよ
うに描かれている。この辺りがドラマとしても見事な作品だ
った。アカデミー賞受賞も頷ける。
『さよなら、クロ』
昭和36年から47年まで、長野県の進学校松本深志高校に住み
着いた犬「クロ」を巡る実話にインスパイアされた青春ドラ
マ。
この手の実話に基づく物語を日本映画が作ると、たいていは
エピソードの羅列になってしまったり、大げさなお涙頂戴の
物語になってしまって辟易することが多い。しかしこの作品
は、クロの生涯を主軸に据えてはいるが、そこに巧みに青春
ドラマを展開している。
1960年代のある日、体育祭の仮装行列に西郷隆盛像のツンの
役で登場したその犬は、学校中のアイドルとなり、クロと名
付けられて、いつしか校内に住み着くようになる。
一方、そのクロに最初に餌を与えた亮介は高校3年生、東大
を目指す親友の孝二と共に、同級生の雪子に恋心を持っては
いるが、積極的な孝二には一歩先を越されている。しかし孝
二が雪子に告白した日、孝二はバイク事故で帰らぬ人となっ
てしまう。
それから10年後、駆け出しの獣医となった亮介は友人の結婚
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05月16日(金)
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