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On the Production
by 井口健二
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■東京国際映画祭(前)
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※このページでは、東京国際映画祭の上映映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。 ※
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(コンペティション部門)
『風の中の鳥』(スリランカ)“Sulang Kirilli”
縫製工場で働く若い女性を主人公にした実話に基づく社会派
ドラマ。
主人公は兵士の男と関係し、妊娠してしまう。しかし男には
妻がおり、不倫だったことが判明する。男は中絶を要求し金
も用意するが、法律はそれを許さない。しかもその時すでに
妊娠7カ月、胎児は動きだし、彼女には胎児への愛情が芽生
えていた。
法学部に学んだという女性監督の作品で、ティーチインでの
「これは、普通に起こり得る話か、それとも特別な女性の物
語か」という僕の質問に対して、「スリランカでは性教育が
タブー視されている現状から、通常起こる話だ」という回答
だった。
映画は、男の目で見ると男の身勝手さみたいなものが印象に
残るが、映画の訴えたいところは、それより女性の自覚、自
立の問題のようだ。現在も内戦やテロが続く中での、社会の
厳しさが鮮明に描かれていたようにも感じた。
『ベンデラ−旗−』(インドネシア)“Bendera”
1枚の国旗を巡って、インドネシアという国を寓意的に描い
た作品。
スラム街で隣同士に暮らす小学生の男女が、月曜日の朝礼で
国旗を掲揚する役に選ばれ、ちょっと汚れた国旗を洗濯して
くるように命じられる。ところが、一生懸命洗った国旗はち
ょっと目を離した隙に行方不明となり、その国旗を追って2
人の冒険が始まる。
最初、余りにも偶然が重なって国旗が移動してしまうので、
ちょっと物語的にどうかと思ったのだが、全てが寓意という
ことだと納得できる。特に途中で西欧の国旗を背負ったパン
ク調の若者がちょっかいを出す辺りはなるほどと思わせる部
分だ。
民俗音楽からポップスまで音楽を多用したり、かなりポップ
な感じの作品だが、監督は昨年12月に紹介した『囁く砂』の
監督ということで、その作風の違いに驚かされた。しかし,
ティーチインでの「今後はどっちの方向に進むのか」という
僕の質問に対しては、「まだいろいろ実験をしているところ
で、第3作はまた違った作品になる」ということだった。
因に、国旗について歌った主題歌は、6週間以上ヒットを続
け、第2の国歌になりそうな勢いだそうだ。しかしその主題
歌の歌詞に字幕がないのが残念、何度も「インドネシア」と
いう言葉が出てきたのは判ったが。
『卒業』(日本)
内山理名の主演で、ちょっとファンタスティックの雰囲気も
ある恋愛ドラマ。
とある大学で教鞭を取る、冴えない心理学の教授・真山。彼
には将来を誓った女性がいるのだが、約束の時間には必ず遅
れるなどのルーズな面がある。そんな彼に一人の女子生徒が
接近してくる。そして彼女が差し出した1本の傘が、いろい
ろな波紋を呼ぶ中で、徐々に彼自身が変って行く。
内山の演じる女子生徒が、意図してあるいは意図せずに行う
行動が、真山を迷わせ、振り回されても行くのだが、内山と
同じ年代の娘を持ち、かつ真山よりは年上だが、たぶん同じ
ような性格の自分としては、見ていてある意味で填められて
しまった。
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10月31日(木)
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