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On the Production
by 井口健二
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■第20回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 まずは、ビディングウォー(bidding war)と呼ばれるオ
ークションの話題から。                
 エージェントの力が強いアメリカでは、予め脚本と監督、
場合によっては出演者までをセットにして組み上げた企画を
各社に提示して、その企画の買い取り価格を競らせることが
行われる。このやり方が製作費の高騰に繋がっているとも言
われるが、逆に言えば買い手側は先に内容を吟味してからオ
ークションに参加する訳だから、企画自体の完成度も高くな
ってくる。そして売り手側は如何にアピールするかをまず考
える訳で、この相乗効果で話題作が次々生まれ、業界全体が
活況になっているとも言えるものだ。          
 そんなビディングウォーの話題で、まずは『スパイダー・
マン』のサム・ライミが発表した“30 Days of Night”と
いう企画に、オークションで100万ドル台の契約が成立して
いる。                         
 この企画は、“Hellspawn”や“Fused!”などのコミック
スのライターで、最近“Savage Membrane”というグラフィ
ックノヴェルも発表し、準備中の“Spawn 2”の脚本もトッ
ド・マクファーレンと共同で手掛けているスティーヴ・ナイ
ルズという作家が発表した、同名の3巻本のコミックスを映
画化するもので、内容はヴァンパイアもの。       
 といっても舞台はアラスカの北極圏に近い町バロー。そし
て季節は冬。つまり『インソムニア』で描かれた白夜とは反
対に、ほとんど1カ月に亘って夜が続く状況の中で、町を守
る保安官の夫妻がヴァンパイアの襲撃に対峙し、彼らの活動
が止まる30日後の夜明けを待つというお話。ヴァンパイアも
ので夜明けを待つというのは定番だが、それが30日も続くと
いう訳だ。                      
 そしてこのコミックスに目を留めたライミが、たまたまナ
イルズとエージェントが同じだったこともあって製作に名乗
りを上げ、一気にビディングウォーの状況になったものだ。
ただしこの計画で、ライミは『スパイダー・マン』の準備に
忙しいために監督はせず、製作の形でしかタッチしないとい
うことだが、それでもライミ+コミックス=期待作というこ
とでこの価格になったようだ。             
 なおオークションには、ドリームワークスとMGM、それ
にドイツに本拠を置く独立系のセネター社が参加。ドリーム
ワークスはニュー・ラインで『ブレイド』を手掛けたマイク
ル・デ=ルッカが代表して獲得を切望したようだが、結局セ
ネターが契約を結ぶことになった。因にセネターは、5月に
ライミが企画を立上げた際に海外配給の交渉を受けており、
その時から企画に興味を示していたということだが、最終的
に映画の製作そのものも行うことになって、全世界の配給権
を得ることになった。                 
 契約の付帯条件で、脚本はナイルズが執筆するということ
だが、これから出演者や監督も選考する訳で、仮に今度の冬
に現地ロケとなると準備はかなり急ピッチになりそうだ。そ
れと日本配給はセネターとの契約になるようだが、これもこ
れからオークションということになるのだろうか。    
        *         *        
 ビディングウォーの話題もう1本は、00年の東京国際映画
祭でグランプリを獲得した『アモーレス・ペロス』の監督ア
レハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥと、脚本ギジェルモ
・アリアガ・ホルダンによる初めての英語作品“21 Grams”
に対してオークションが行われ、こちらは総製作費2,00万ド
ルという作品の世界配給権をユニヴァーサル傘下のフォーカ

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08月01日(木)
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