ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■特集:東京国際映画祭(コンペティション14作品+レイン、遊園驚夢、ヴィドック)
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※このページでは、東京国際映画祭の上映映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。       ※
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コンペティション部門                 
                           
『ワンダーボーイ』“Malunde”        
ヨハネスブルグの黒人のストリートチルドレンと初老の白人
の元英雄との、ケープタウンまでの旅を描いたロードムーヴ
ィ。南アフリカ出身でドイツ在住の女流監督の作品。   
少年の名前はワンダーボーイ。麻薬に絡んでギャングから追
われることになった彼は、元英雄の車に逃げ込み、自分の故
郷でもあるケープタウンに向かうことになる。元英雄は国家
に尽くした功績で勲章を貰っているが、それは黒人迫害の結
果でもあったらしい。                 
こんな2人の関係は、最初の内はギクシャクしたものであっ
たが、やがて少年が意外な商才を発揮したことから、徐々に
打ち解けて行くことになる。しかし今も根強く残る黒人差別
の現実は、一朝一夕に消えて行くものではない。     
映画祭の最初に見た作品は、こんな辛い現実を、暖かい心と
素晴らしいユーモアで包んでみせた見事な作品だった。コン
ペティション部門はまだ1本しか見ていないのに個人的には
グランプリを決めてしまいそうになった。        
                           
『羊のうた』                     
冬目景原作のコミックスを、助監督出身の花堂純次が脚色監
督した。奇病に侵された少年を巡る純愛ストーリー。   
大学進学に揺れる高校生の一砂は、籍を置く美術部の八重樫
に思いを寄せている。その一方で、最近物事に集中できなく
なっている自分に不安を抱いていた。          
子供のころに養父母に預けられた一砂は知らなかったが、彼
の母方には吸血を願望する遺伝子病があり、母親の病と闘っ
た医師でもある父親は、母親の死を看取って自殺。生家には
同じ病を発病した姉が一人暮らしていた。        
そして発病した一砂は、病の意味を知り、人との接触を避け
て残りの人生を送ることを決意、しかしそれは八重樫との別
れも意味していた。                  
原作は連載中だそうだが、映画では結末を持たなければなら
ず、その映画オリジナルな部分は上手くできている。また映
画は、おどろおどろしさを上手くミックスしながらも、それ
にだけに陥ることを極力避け、純愛というテーマを活かして
いた。                        
                           
『ヒューマンネイチュア』“Human Nature”       
『マルコビッチの穴』のチャーリー・カウフマンの脚本の映
画化。ナイキ、コカコーラのコマーシャルやビヨークのミュ
ージックヴィデオなどで知られるマイクル・ゴンドリーが監
督した。                       
厳格な躾の下に育てられた行動学者の男と、余りに毛深いた
めに人目を避けて森の中で暮らし、結果自然主義作家として
成功した女、そして類人猿に育てられた男を父親に持ち、自
分も野性児に育てられた若者、さらに行動学者の助手のフラ
ンス女を巡る男女関係に託した社会風刺ドラマ。     
落ちも秀逸で、実に上手くできた脚本。東京映画祭のコンペ
ティションは長編3作目までの監督に資格があるが、この作
品は脚本2作目のカウフマンの成果だろう。       
                           
『春の日は過ぎゆく』“One Fine Spring Day” 
『八月のクリスマス』のホ・ジノ監督の韓国映画。    
離婚経験のある地方ラジオ局の女性ディレクターと、彼女が

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11月04日(日)
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