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On the Production
by 井口健二
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■オン・ザ・ロード、素敵な相棒、風切羽、シェフ、恋のベビーカー大作戦、ジェリーフィッシュ、オーガストウォーズ、ワイルド・スピード6
されたということだが、本作では原案から考え、「自分と主
人公とを無意識に重ねることができた」としている。
また脚本には、元はNewsweek誌などに寄稿した従軍記者で、
アフガニスタン戦争や南アフリカのアパルトヘイトの取材な
ども行ってきたというマイクル・A・ラーナーが参加して、
戦場の実態を描き尽くしているようだ。
母親役は、舞台出身で映画出演での受賞歴もあるスベトラー
ナ・イヴァーノヴナ。他に監督の前作にも出演のエゴール・
ベロエフ、舞台出身のマクシム・マトヴェーエフらが脇を固
めている。
戦場に向かう母親の姿を描いた作品では、2008年10月にアレ
クサンドル・ソクーロフ監督の『チェチェンへ/アレクサン
ドラの旅』なども紹介しているが、ドキュメンタリータッチ
のその作品に対しては対極と言える作品かもしれない。しか
し監督らがそこに描こうとしているのは同じものだ。
ロボットVFXのオブラートにくるみながら、ここまで戦争
の実態を描き切った監督に、心からの賞賛を贈りたいと思う
作品だった。

『ワイルド・スピード/ユーロ・ミッション』
“Fast & Furious 6”
ヴィン・ディーゼル主演によるシリーズの第6作。第3作で
東京、第5作でリオデジャネイロを舞台にした物語は、今回
はついにヨーロッパに上陸する。
物語の始まりはスペイン領カナリア諸島。リオの作戦で大金
を手にした主人公らは国際手配はされているものの、合衆国
との犯罪者引渡し条約が結ばれていない南国で優雅な生活を
送っている。
ところがそこに前作で捜査に協力したインターポールの刑事
が現れ、新しい任務への協力を要請する。とは言えそんな協
力の義務はない主人公らだったが、そこに刑事はある情報を
提供し、さらに恩赦の実施を持ち出す。
こうして止むなく協力をすることになった主人公たちだった
が、今回の敵はロシアンマフィアを背景にした今までの相手
とは桁違いに強大な勢力を誇っていた。そしてその首領が疾
駆するのは正に最強の車だった。
共演はポール・ウォーカー、ジョーダナ・ブリュースター、
それに本作から本格復帰のミシェル・ロドリゲス、さらに前
作に続けて登場のドウェイン・ジョンスン。またタイリーズ
・ギブスン、クリス・ブリッジス、ガル・ギャドット、サン
・カンらの前作のメムバーも再登場する。
一方、敵役には今年2月紹介『ノー・ワン・リヴズ』などの
ルーク・エヴァンスが扮して凄みのある悪党ぶりを演じてい
る。脚本は前々作からのクリス・モーガン、監督は第3作以
来4連投のジャスティン・リンが担当した。
2001年にシリーズの第1作を手掛けた監督のロブ・コーエン
とディーゼルのコラボレーションでは、2002年9月紹介『ト
リプルX』も高評価を得たものだが、ヨーロッパが舞台で、
さらに恩赦が取引材料の一部というのはその作品も髣髴とさ
せるものだ。
そして本作のアクションは、映画の中に「うまくいくと思っ
たの?」、「いや思わなかった」という台詞が出てくるくら
いに、言わば荒唐無稽の一歩手前という感じ。本シリーズは
どちらかというとメカニカルなアクションが主体で、『トリ
プルX』が肉体系だったが、本作ではその垣根が取り払われ
てしまったようだ。
なおエンディングクレジットには、本シリーズ恒例の次作に
繋がるサプライズが挿入されているが、今回は前作にも増し
てとんでもないもの。その第7作は2014年の公開が予定され
ている。

05月30日(木)
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