ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460048hit]

■箱入り息子の恋、はじまりのみち、殺人の告白、モスダイアリー、オブリビオン(追記)、クソすばらしいこの世界、キス我慢、シャニダール
とは言え、テレビのファンにはそんなことは期待されてもい
ないのだろうし、そのファンを取り込むだけならそれなりの
作品になっているとは言える。下手に訳の分からない作品を
観せられよりは良いと言えるところだろう。
ゲスト出演はミッキー・カーチス、斎藤工、渡辺いっけい、
竹内力、京本政樹。他にもお笑い芸人やグラビアモデルらが
多数出演して、作品を盛り上げている。

『シャニダールの花』
イラクのシャニダール遺跡で、ネアンデルタール人の墓所か
ら一緒に埋葬されたとみられる花が発見されたという事実を
モティーフにしたファンタシーというよりSFの作品。
背景は現代というより少し未来かな。舞台はとある研究所。
その時代、極少数の女性の胸に花が咲くという現象が起き、
その花からは希少な薬品が製造される。そしてその対価には
1億円の契約金が支払われているようだ。
主人公はそんな研究所に勤める研究員と、女性たちの面倒を
見るために雇われたセラピスト。ところがその花を女性の胸
から切除の際に女性が死亡する事故が起き、主人公らは研究
所のあり方に疑問を感じ始める。
最近では4月紹介の『アンチヴァイラル』もそうだったが、
特にVFXなどを用いずに、特異なテーマ性だけで未来社会
を描くSF作品には秀作も多い。本作もそんな線を目指して
作られたと言えるものだ。
しかし本作では、背景となる未来社会が曖昧で、それが物語
を不明確にしている。もちろん監督にはそんな社会など描く
つもりはないのだろうが、例えば女性の死に関しても背景社
会との関連は重要になる。
それは当然1億円の対価が支払われるものである訳で、その
作られる薬品などにも相応の意味があるはずだ。それらを全
て不問にして描けるほどのテーマ性がこの花だけにあるかと
いうと、それは疑問に感じられた。
その他にも、主人公以外の研究員の対象物に対する態度も、
僕自身が理工学系の出身者である目からするとありえないも
のばかりで、その辺からもこの映画に対する不信感が拭えな
いものになっていた。
ただし映画のテーマ性については、後半に明らかにされる話
が監督の言いたいことではあるのだろうが、その結論を急ぐ
あまりに、本来のドラマの部分が描き切れていない感じもし
てしまったものだ。
出演は、2011年10月紹介『東京オアシス』などの黒木華と、
昨年6月紹介『るろうに剣心』などに出ている綾野剛。他に
刈谷友衣子、山下リオ、伊藤歩、古舘寛治らが脇を固めてい
る。
脚本と監督は、1980年『狂い咲きサンダーロード』などの石
井岳龍が担当した。

05月10日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る